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レッドブルとのジョイントでフォードが22年ぶりにF1復帰、その狙いと課題とは《レッドブルとホンダの蜜月は2025年限り》
posted2023/02/19 11:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
F1にブルーオーバルのエンブレムが帰ってくる。
2月3日に行われたレッドブルの新車発表イベントで、2026年に向けてレッドブル・パワートレインズ(RBPT)とフォードがパートナーシップを結ぶことが発表された。
フォードとF1の歴史は深い。初参戦は1963年。成功を収め始めたのは4年後の1967年で、きっかけはイギリスのレーシングエンジンビルダー、コスワースと共同で開発した2993ccの自然吸気V8エンジンだった。「フォード・コスワースDFV(Double Four Valveの略)」と呼ばれたこのエンジンを搭載したロータスは、フォード・コスワースDFVにとってのデビュー戦となった第3戦オランダGPで、グラハム・ヒルがポールポジションを獲得。レースでは8番グリッドからスタートしたチームメートのジム・クラークが鮮やかな逆転優勝を飾り、鮮烈なグランプリデビューを果たした。
レーシングエンジンの金字塔
この年、4勝を飾ったフォード・コスワースDFVの勢いは翌年も衰えることなく、ヒルがドライバーズチャンピオンに輝くと、ロータスはコンストラクターズ選手権を制してダブルタイトルを独占。一気に頂点へと上り詰めた。
フォード・コスワースDFVは、この年からロータスだけでなく、ブルース・マクラーレンが設立したマクラーレンやケン・ティレル率いるマトラ・インターナショナルへも供給されてそれぞれが3勝を挙げ、ロータスと合わせて12戦中11戦で搭載車が勝利する最強エンジンとなった。
その後、フォード・コスワースDFVは、1974年まで7年連続でドライバーズ&コンストラクターズタイトルを獲得。ロータス、マクラーレン、マトラの3チーム以外の小規模なチームもこぞって使用する、F1界を代表するエンジンとなった。
80年代に入ると、F1はターボの時代に突入。自然吸気のフォード・コスワースDFVはライバルエンジンの猛攻に対抗するため、さまざまな改良を行い、DFVの名前は姿を消すことになる。だが、その後もフォードは1994年に「フォード・コスワースZETEC−R」で、ベネトンのミハエル・シューマッハーとともにドライバーズチャンピオンを獲得するなど、F1界で存在感を発揮した。