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レッドブルとのジョイントでフォードが22年ぶりにF1復帰、その狙いと課題とは《レッドブルとホンダの蜜月は2025年限り》
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2023/02/19 11:00
1968年にダブルタイトルを獲得したロータス49に搭載された、名機中の名機フォード・コスワースDFV
フォード・パフォーマンス・モータースポーツのグローバル・ディレクターを務めるマーク・ラッシュブルックもそれは認めている。
「アメリカでのF1人気が復帰の追い風になったことは間違いないが、それだけが理由ではない。われわれはフォード・モーター・カンパニーというアメリカを代表する自動車会社で、世界最高峰のF1に参入することで得られる技術的メリットは大きい。特に今後成長著しくなるであろうバッテリーを含めた電気モーター分野での技術だ」
そのことは2026年に参戦を予定しているパワーユニットマニュファクチャラーのリストに、両社の名前が入った「レッドブル・フォード」が登録されていることでもわかる。これはRBPT製のエンジンにフォード製のバッテリーが搭載されるPUを意味する。
フォードを待ち受ける時間との戦い
しかし、F1で求められるバッテリーの性能は、市販車に搭載されるものとは大きく異なる。現在最強のPUと言われているホンダも、復帰した当初は何度も電気エネルギー不足に見舞われ、厳しい戦いを強いられた。ホンダが現在使用している最新型のバッテリーを実戦投入したのは2021年の8月、参戦7シーズン目のこと。それだけ時間がかかっているだけに、復帰まで3年を切ったフォードに残された時間は決して多くない。
これまでフォードがF1史に刻んだ勝利は176回。ドライバーズタイトルは13回、コンストラクターズタイトルも10回獲得。F1史上3番目に成功したエンジンメーカー(1位フェラーリ・243勝、2位メルセデス・212勝)が2026年以降、どんな活躍を披露するのか。いずれにしても、名門フォードのF1復帰が、今後のF1の勢力図に大きな影響を与えることは間違いない。