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新代表はトッド以来のフランス人! フェラーリ伝統の“人事異動”で古豪復活はなるか?《最後のタイトルから5人目》
posted2023/02/03 11:01
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
F1で最も伝統あるチームであるフェラーリのチーム代表マッティア・ビノットが、昨年のシーズン終了後に辞任すると発表された。
12年ぶりに開幕戦1−2フィニッシュを飾った2022年のフェラーリは、2007年以来のドライバーズチャンピオン獲得へ向けて幸先の良いスタートを切っていた。しかし、相次ぐ戦略ミスとマシントラブルなどにより、レッドブルの前にあえなく一敗地に塗れた。
そのため、ビノットへの批判はシーズンが進むにつれて大きくなり、最終的に辞任という形で決着したが、事実上の更迭だった。ビノットの代表としての資質について不満を募らせていた者にとっては当然の帰結だったかもしれないが、この決定にフェラーリの将来を案じている人々も少なくない。
というのも、チーム代表とはそう簡単に替えが利く存在ではないからだ。F1というスポーツはドライバー1人で戦っているわけではない。マシンをサーキットで速く走らせる数十人の現場スタッフと、ファクトリーで日々開発する数百人のスタッフによって戦う団体スポーツであり、それを統率するのがチーム代表だ。
各国の一流大学を卒業したエリートたちによって構成されるF1チームでは、それを束ねる優秀なリーダーが必要だ。そのリーダーたるチーム代表を交代させるということは、リーダーの下で仕事してきた者たちにとっては、進むべき方向性を見失ってしまう可能性がある。
オーナー制からチーム代表制への変化
F1にチーム代表というポジションが確立されたのは、2000年代以降のこと。90年代までのF1は、チームオーナーが自ら監督として指揮を執っていた。しかし、その後チームが巨大化したり、あるいは自動車メーカーの参入により組織の形態が変わったことで、オーナーとは別にチームを運営する代表者が必要になった。
フェラーリも例外ではなく、創始者であるエンツォが存命だったころはチーム代表というポジションはなく、事実上エンツォがフェラーリを統率していた。