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りくりゅう「本当にペアに出会えて良かった」演技後には“かばい合い”する瞬間も…日本ペア初の四大陸選手権優勝を叶えた“地道な努力” 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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posted2023/02/15 11:03

りくりゅう「本当にペアに出会えて良かった」演技後には“かばい合い”する瞬間も…日本ペア初の四大陸選手権優勝を叶えた“地道な努力”<Number Web> photograph by Getty Images

四大陸選手権で初優勝を果たし、笑顔を見せた三浦璃来と木原龍一

「あの技は絶対戻したいんですよね」と木原が言うのは、見栄えだけの問題ではない。次へつなげるためのカーブに入っていく際に、この技を取り除いたために次のエレメントへの切り替えが難しくなったのだという。

「今年はあれがなくなったので、パターンのずれが去年とは違うんです」

 三浦の肩の心配がなくなったら、将来的には戻したい、と木原は繰り返した。

 全体でいくつか細かいミスは出たものの、最後まで大きく崩れることなく滑りきった。最後の彼らのトレードマークの一つ、木原が膝を折った姿勢から三浦を持ち上げるリフトは、この標高で大丈夫なのだろうかとひやひやしたが、それも無事にこなして演じ終わった後で力尽きて氷の上にうずくまった二人だった。フリー137.05。SPの71.19と合わせて、総合208. 24で独走初優勝。また新たな記録を作った。

明かした思い「本当にペアに出会えて良かった」

 記者会見の壇上の席に座り、木原はこう口にした。

「結成した最初のシーズン、四大陸選手権に初めて(三浦とのペアで)出場したとき、いつかプレスカンフェレンス(記者会見)に出れたらいいね、というように話していたので、今日実現できたので嬉しく思います」

 2020年2月、ソウルで行われた四大陸選手権で11組中8位に終わったときのことだ。その頃の自分たちと比べて、どんなところが成長したと感じるのか。

「今もなんですけど……それ以上に(当時の)私は弱かったと思います。心配を引きずってしまったりとか本当に多かったので。それに比べたら、今は練習の際に失敗しても引きずらないというのができているかなと思います」と三浦。

 その四大陸の直後にパンデミックが始まり、特にカナダはロックダウンが厳しかった。リンクが再開しても、人数制限があり、またアイスタイムの直前まで施設内に入ることができずに雪の中でウォームアップのためのリフトの練習をしたこともあったという。苦しい時期を二人で乗り越えてきたという思いが、彼らをさらに強くした。

 今季は木原がペアに転向して、ちょうど10年目になる。地道に重ねてきた努力が、ここ2年でいっきに開花した。

「三浦さんとコーチのブルーノ(・マルコット)に会って、楽しくなくなっていたスケートを全てお二人が変えてくれた。本当に感謝していますし、今、本当にペアに出会えて良かったと思っています」

 次のチャレンジは、埼玉での世界選手権。自国の観客たちの前で、さらに成長した姿を見せてくれることだろう。

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