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「もう何もかもダメ」三浦佳生が乗り越えた“足が震えた最下位”「特に思い入れのないポケモンに助けられました(笑)」<四大陸選手権を最年少V>
posted2023/02/13 17:01
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Getty Images
渾身のガッツポーズ、得点を見たときの叫び……それがこの日の演技を物語っていた。
2月11日、フィギュアスケートの四大陸選手権男子フリーがアメリカ・コロラド州で行われ、三浦佳生が初優勝を果たした。17歳8カ月での勝利は2017年に17歳9カ月で優勝したネイサン・チェンを上回る史上最年少記録でもある。
この日、実は衣装を忘れていた
ショートプログラム1位で迎えたフリー。冒頭のトリプルアクセルからの連続ジャンプ、4回転トウループを鮮やかに決める。続く4回転サルコウこそバランスを乱したが、3本目の4回転ジャンプとなる後半の4回転トウループを成功させる。高度約1800mという高地ゆえに後半に苦しむ選手も少なくない中、今シーズン最高の演技を披露してみせた。フリーの得点は189.63点、ショートとの合計は281.53点、ともに自己ベストをマークしての優勝だった。
この日、実は衣装を忘れていたという。また直前の滑走者キーガン・メッシングが完璧な演技で喝采を浴びていた。
「たくさんの方の力で届いて」衣装はことなきを得たものの、当日にハプニングもあり、好演技の後と、ともすればプレッシャーがのしかかる局面で、それを力に変えてみせた。
「お客さんもそうですし、前に滑った(佐藤)駿とキーガン選手、もう全員の力が集まった最終形態がさっきの演技だったかなと思います。パワー爆発みたいな」
その言葉は、ある意味、三浦を象徴していた。
スケート界が絶望させられるような演技
今シーズンから本格的にシニアに参戦した三浦は、スピード感あふれる演技とジャンプなどで抜きん出た面を見せ、早くから注目を集めてきた存在だ。同時に、強い気持ちを持つアスリートであり、それを言葉も含めて前面に表す点でも個性を放ってきた。
印象的な言葉が放たれたのが、グランプリシリーズ初戦のスケートアメリカだ。