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YouTubeで“ある無名サッカー選手”がバズるまで…タイトルは「池田晃太」ではなく「地域リーガーの1日」とした理由〈今は板倉滉の専属シェフ〉 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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posted2023/02/17 11:01

YouTubeで“ある無名サッカー選手”がバズるまで…タイトルは「池田晃太」ではなく「地域リーガーの1日」とした理由〈今は板倉滉の専属シェフ〉<Number Web> photograph by Number Web

池田晃太さんのYouTubeチャンネルより。この動画配信が彼のセカンドキャリアを形どった

 主語が大きくなったり、一般化されると見てもらいやすいという法則はYouTubeを使った情報発信を始めるトップカテゴリーのスポーツクラブなどが、SNS運用のプロに教えられて初めてできることだ。

 池田の凄さは、そうしたコツに自ら気づいたところにある。

 つまり、池田は出演者として振る舞うだけではなく、アクセス数を伸ばすため自分で自分をコンサルティングしてもいたわけだ。

『地域リーガーの1日』というVlogがいわゆるバズった形になり、そこからアクセスが伸び始めました。そして、ちょうどその後にコロナ禍になり、YouTubeへの注目度が上がったのは運が良かったです」

発信を続けていくことが将来のプラスになる

 こうして、まもなくチャンネル登録者数4万人に届きそうなYouTubeチャンネルは一定の認知度を得た。Jリーグを経験していない元サッカー選手としては異例の数字だ。もちろん、InstagramやTwitterなどのSNSも運用しており、それらを通して池田のことを知ったJリーガーや日本代表選手も多い。板倉の目にとまったのも、YouTubeがあったからだ。

 では、なぜ、YouTubeに力を入れ、セルフ・コンサルティングを成功させられたのだろうか。

「このころには、『セカンドキャリアでは、食の力でアスリートをサポートしたい』と思うようになっていました。それを実現するためにはどうしたらいいか考えたとき、自分のことを知ってもらうためにも、『YouTubeでの発信を続けていくことが自分の将来のプラスになる』と考えて頑張って取り組んでいたからだと思います」

 やめずに続けること。視聴者数を伸ばすために、視聴者にアピールできるような自身の強みを分析し、トレンドをおさえ、工夫を続ける。コンサルタントとしても成功しそうな努力が池田の道を最終的に切り開くことになる。

“フィギュアスケートの警備バイト”で知ったこと

〈ポイント4〉

「自分の想いに正直になる」

 実は、池田は大学に進学するタイミングで、高校まで情熱を注いでいたサッカーとの付き合い方を変えたことがある。当時、大学ではサークル活動の一環でボールを蹴る程度だった。ただ、何かにむかって一生懸命に取り組んでいない自分に、日に日に嫌気が増してきた。

 そこで、3年生に上がるタイミングで休学を決意。この期間に海外を放浪して自分探しをしようと決めた。まずは、そのために資金を貯めないといけない。そこで、アルバイトの量を一気に増やすことにした。その一環として派遣されたのが、フィギュアスケートの世界大会の警備だった。およそ1週間にわたり、このアルバイトをやったときに、それまでは興味のなかったフィギュアスケーターたちと自分との決定的な差に気がついた。

 自分は、気乗りせずに、自らの時間とお金を交換するかのようにアルバイトに取り組んでいる。

 フィギュアスケートの選手は、多くの観客の期待を受けながら、努力してきた成果を、必死に、ときに楽しそうに、披露している。

 やりたくもないことをしてお金を稼いでいる人と、自分のやりたいことを仕事にしている人とでは、心の持ちように大きな差があると思い知らされた。だから、大学進学を機に一度はあきらめた、サッカーの世界で少しでも上を目指すという生活を池田は再開することになった。

【次ページ】 「一度、ZOOMでお話をさせてもらえないでしょうか?」

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