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大阪桐蔭「涙の下関国際戦」から3カ月…エース前田「今だから言えることですけど」発展途上でも“史上初連覇“、新チームは何が違う?
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byKYODO
posted2022/11/26 17:00
“涙の下関国際戦”から3カ月、明治神宮大会で「史上初の連覇」を成し遂げた大阪桐蔭。エース前田擁する今年チームは何が違う?
「前田が投げるから勝てると思っていませんし、他のピッチャーも頑張っていますんで。前田がいればゲームを作りやすいかもしれませんが、メンバーに入っているピッチャーで作れた試合もありましたからね」
明治神宮大会でいえば、2回戦のクラーク国際戦がそうだ。南恒誠、藤井勇真、松井弘樹の3人が相手打線を2失点に抑え、攻撃陣が10安打12得点と大量援護。6回コールドで北海道王者を退けている。
西谷は根本的に「前田依存」のチームなど求めていない。その証拠のひとつとして、この大会ではベンチ入りメンバー18人全員が出場を果たしている。
「まだ発展途上の中の発展途上」
そう西谷が評する未熟な選手たちが、秋の日本一を争う大会で経験を積めたことこそ、大阪桐蔭にとって何よりの収穫だった。
今年の大阪桐蔭は何が違う?
今年の夏、下級生からベンチ入りした選手が前田とセカンドの村本勇海のふたりしかいなかった。今春まで遡れば、ピッチャーの南、キャッチャーの南川幸輝、ショートの小川大地、レフトの山田太成もベンチメンバーではあったが、西谷いわく「まだまだ上級生の壁に跳ね返されるレベル」だったと話す。
「ですから、大きな大会を経験していないメンバーがこの代には多いんです。新チームになって100日も経っていませんし、コーチたちと毎日力を養っている段階なので、まだチームに色はない状態です。これからじっくり出していければいいなと思っています」
西谷がそうビジョンを掲げ、強く頷く。そして、「個の力をもうちょっと何とかしていかないと」と具体的な課題も挙げていた。
大阪桐蔭のキャンバスはまだ、白が目立つ状態だ。判別できる色があるとすれば、「絶対エースの前田悠伍」くらいである。
その強烈な個と調和するように様々な色も際立てば、大阪桐蔭はまた他者が唸り、畏怖する集団となる。
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