高橋藍のカラフルデイズBACK NUMBER
「取材では常に『自信がある』と言ってきましたが、本音はまだまだ」バレー代表・高橋藍(21歳)が目指し続ける“強い自分”
text by
高橋藍Ran Takahashi
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/11/04 06:00
今シーズンは開幕戦からチームに合流した高橋藍。自分のため、日本代表のためにさらなる飛躍を誓った
開幕から2連勝という最高のスタートが切れたことも大きな自信になりましたが、自分自身のパフォーマンスが向上している。確かに成長している、と思えたことも僕にとっては大きな自信になりました。
筋力がつき、経験を重ね、今までは止められていた状況でブロックをかわしたり、抜くこと、打つコースの幅が広がったこと。技術面でも「成長できた」と感じるところはありますが、大きな変化は「メンタル」です。
昨シーズンまでと比べて、自信と心の余裕をもって世界のトップ相手と戦うことができている。これは大きな変化でもあります。
さまざまな取材や、多くの方々に向けて話す機会をいただく中、僕は常に「自信がある」と言い続けてきました。でも、本音を言うと自分では「まだまだ」と思っているし、もしも今の段階で満足していたら、これ以上成長する幅はないと思っています。
何に向かって、どこへ向かっていくのか。さまざまな経験をする中、考える機会も増えました。そして自分の中で1つ、ハッキリしたことがあります。
僕が進む道。目指すこと。
それは「強くなる」ということ。
自分のためであるのはもちろんですが、誰かのため、応援してくれる人たちのため、これからのバレーボール界のため、「強くなる」ことがすべてにつながる。
さらに「強くなる」ために必要なこと
9月の世界選手権で負けた後も、これ以上ないほど「強くなる」必要性を感じました。1つ1つのプレーはもちろん、どんな相手に対しても気持ちを前面に出して「俺が一番強いんだ」という思いを持ちながらも、謙虚さも忘れず、心から「強くなる」こと。
たとえば、試合に負けた日は「どうして負けたのか」「自分の足りない部分は何か」といろいろなことを考えます。もちろんプレーの面で「できなかった」ことを明確にするのは次につながる大切な作業なのですが、「どうしてダメだったのか」とネガティブに考えすぎるばかりでは前に進めない。
アスリートであっても、調子のいい日や悪い日があり、同じ試合でも臨むコンディションはさまざまです。そして自分がどれだけ調子がよく、いいパフォーマンスができても、相手がさらに上回れば勝てないこともあります。そこでいつまでも「どうして」と考えすぎるよりも、むしろ終わったことは終わったことと切り替えて、「今日はすべての力を出し切れなかったけれど、次の試合は出せるようにしよう」「スパイクの調子が悪くてもレシーブで補おう」というプラスのイメージに切り替えることのほうが必要だと思うようになりました。
そんな作業が「強くなる」ということにつながっている。だから今シーズン、僕はインスタグラムに投稿する時も、必ず最後は「強くなる」という言葉で締めくくるようになりました。