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「アスリート生活は一種のドーピング(笑)」元バレー代表・福澤達哉が考えるセカンドキャリア論『できない』世界へ飛び込んだ時に大事なこと

posted2022/11/18 17:00

 
「アスリート生活は一種のドーピング(笑)」元バレー代表・福澤達哉が考えるセカンドキャリア論『できない』世界へ飛び込んだ時に大事なこと<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

仕事終わりにインタビューに応じた福澤達哉さん。業務に追われる毎日だが、日本代表戦の解説などバレーボールに関する仕事も積極的にチャレンジしている

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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Yuki Suenaga

 昨年の引退から1年が過ぎ、ユニフォームを着ずに迎える2度目のVリーグも開幕した。元男子バレーボール日本代表・福澤達哉さん(36歳)のスーツ姿も、すっかり板についてきた。

「バレーボール選手を引退して、会社で本格的に仕事をするようになって1年。『どう? 最近仕事は楽しい?』とよく聞かれます。そう聞かれたらいつも『わからない』と答えるんです。引退したばかりの元アスリートに聞くと、だいたいの場合、『いや全然楽しくないわ。だからできるだけ現役は長く続けたほうがいいよ』って答える人が多いと思うんですよ。ほぼほぼテンプレートと言っていいぐらい(笑)。

 実際、仕事を始めてまだ1年じゃないですか。バレーボールを始めてすぐに競技の楽しさ、奥深さがわかりましたか?と言われたら答えは『わからない』ですよね。と言うよりも、わかるはずがないと思うんですよ」

“仕事”を優先してパナソニックを選んだ

 元男子バレーボール日本代表、とさらりと書いたが、現役時代の経歴は実に華々しい。

 洛南高在学時から抜群の跳躍力を武器に全国大会を制し、中央大1年時に日本代表へ選出され、4年時には北京五輪にも出場。同学年で、学生時代からしのぎを削ってきた仲間でライバルでもある清水邦広と共に現役大学生コンビとして注目を集めた。

 卒業後にはパナソニックへ入社。日本代表としても活躍を続ける傍らで2015年にはブラジルへ渡り、2019-20、2020-21の2シーズンはフランスでもプレーした。自身の現役生活の集大成とした東京五輪を目指してきたが、最終選考で惜しくもメンバーから外れ、21年7月に現役引退を表明した。

 プロリーグではないバレーボールの場合、男子選手の大半がバレーボールチームを所有する企業に社員として入社し、現役を引退するとそのまま企業に残る。セカンドキャリアの定番と言えば定番ではあるのだが、福澤さんは少し稀なタイプに見える。

「もともと最初の段階からバレーボールが第一ではなく、選ぶ基準は何ができる会社なのか。ここでバレーボールをしたい、よりも、ここで仕事がしたい、と思ってパナソニックを選びました」

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福澤達哉
清水邦広
パナソニック・パンサーズ

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