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ABEMAトップ・藤田晋社長を直撃インタビュー「W杯全64試合を“無料生中継”する理由」そして「思い描くスポーツ観戦の未来像とは」

posted2022/11/17 11:30

 
ABEMAトップ・藤田晋社長を直撃インタビュー「W杯全64試合を“無料生中継”する理由」そして「思い描くスポーツ観戦の未来像とは」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

サイバーエージェント・藤田晋社長。取材は東京・渋谷のAbema Towersで行なわれた

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph by

Takuya Sugiyama

なぜ、巨額を投じてまでW杯の放映権を獲得し、全試合無料生中継にこだわるのか。その勝算は? 自身のW杯への思いからサッカー中継の在り方、そして今後のビジョンまでを藤田社長に聞いた。

――11月20日に開幕するサッカーのカタールワールドカップにおいて、全64試合を無料生中継するのがABEMAです。昨年には放映権料の高騰に伴って日本での放映権交渉が暗礁に乗り上げているというニュースも流れていたなかで、サイバーエージェントとテレビ朝日が共同出資するインターネットテレビサービスのABEMAが手を挙げる形になりました。サイバーエージェントの藤田晋社長にはあらためてその経緯からお伺いできればと思います。

「確か去年の暮れごろにテレビ朝日さんのほうから“ワールドカップを一緒にやりませんか”との打診がありました。元々ABEMAを始める前に1000万WAU(ウイークリーアクティブユーザー)いけば、メディアとして成り立つという話をしていました。ワールドカップなど大きなイベントを手掛ければ瞬間的に到達するのですが、サービスラインアップを認知、浸透させている段階で、かつ、メディアとして成り立っていない状況でそのような“飛び技”は使えない。ただ(開局から)6年経ってWAUも既に1000万を超えていたので、今ならば手掛ける力があると判断して、話をいただいた段階から金額さえ折り合えれば放送したいと考えていました」

――話があったのが昨年の暮れごろだとすると日本代表はまだワールドカップ出場を決めていませんでした。

「その場合のリスクについてはメチャメチャ説明を受けましたよ。カタールとの時差を考えると、放送時間も決して良くはない、と。まあでもそこは(放映権を持つ)みんなが負うリスクでもありますから。ただ日本がワールドカップに行けないとは考えていませんでした。きっとやってくれるはずだと信じていました」

――ワールドカップ出場を決めたのが今年3月のアジア最終予選、アウェーのオーストラリア戦。どのような心境でしたか?

「シビれたという点では過去一番じゃないですかね。僕が見てきた歴代の試合のなかでもベストバウトですよ。自然と大声を出してしまいましたからね(笑)」

――全64試合すべて無料生中継。ここにこだわった理由を教えてください。

「テレビの良さというのは3つあると僕は考えています。生中継であること、みんなが一緒になって見る同時性があること、そして無料。ABEMAはそもそも“新しい未来のテレビ”を標榜していて、この大きな3つの良さを活かすのは必須です。PPVが大きな役割を果たそうとする時代に変わりつつありますが、すべて無料にすることには1ミリたりとも迷わなかった。それにABEMAはメディアとして立ち上がっている最中でもありますから、ワールドカップをきっかけに多くの方に知ってもらえる良い機会になるとも考えました」

――かなりの反響が藤田社長のもとに届いたとも聞きましたが。

「サイバーエージェントを立ち上げて25年目になりますけど、一番褒められたし、感謝されましたね(笑)」

――ワールドカップの凄さというものはどのように感じていらっしゃいましたか?

「僕がサッカーに対して強烈に関心を持つようになったのは2006年に東京ヴェルディの経営に参画(のちに撤退)して、その年に開催されたドイツワールドカップです。普段はサッカーに興味のない人までが盛り上がっている姿を見て、ワールドカップはほとんどの人が観るんだなって再認識できましたね。スポーツのビッグイベントとしてはオリンピックもありますけど、規模感で言えばワールドカップ以上のものはないと捉えています」

【次ページ】 藤田社長が注目している日本代表選手は……

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