Jをめぐる冒険BACK NUMBER
ケガ人続出、三笘薫不在など大ピンチに見えるが 田中碧・板倉滉・浅野拓磨の回復度の確認に加えて…〈W杯前ラスト試合の4大テーマ〉
posted2022/11/17 11:21
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Atsushi Iio
絶体絶命のピンチ、と言える状況だろう。
W杯で優勝候補のドイツ、スペインとの対戦が控えているのに負傷者が止まらない。
9月に板倉滉と浅野拓磨が靭帯断裂の大ケガを負えば、10月末には田中碧が右膝を負傷する。11月に入ると、中山雄太がアキレス腱を故障してW杯欠場を余儀なくされ、冨安健洋もハムストリングを傷めてしまった。
さらに、遠藤航が試合中に相手選手と接触して脳震盪を起こし、守田英正も左ふくらはぎに違和感を抱えた状態だ。遠藤と守田はカナダとのW杯前最後のテストマッチへの欠場が決まった。
極め付けがW杯でジョーカーとして期待される三笘薫だ。プレミアリーグ、リーグカップと公式戦2試合連続ゴールを決めた矢先に体調不良に陥り、いまだチームに合流できていないのだ。
これを危機的状況と言わずに、なんと言うだろうか。
森保監督「このW杯は本当に総力戦だと思っている」
ところが、チームからは悲壮感は感じられない。
「大きな夢を掲げている人も、極端にネガティブな選手もいない。すごく難しい相手と戦わなきゃいけないのは分かっていて、そこをどう攻略するか。身の丈に合ったサッカーをしなきゃいけない一方で、ビッグサプライズを起こしたいという強い野心も持っている。チームの雰囲気のバランスはすごくいい」
キャプテンの吉田麻也が、「優勝を目指す」と公言する選手がいた8年前のブラジル大会や、「間に合うのか」という危機感が渦巻いていた4年前のロシア大会と比べて今のチームの雰囲気を説明すれば、森保一監督もカナダ戦の前日会見で、落ち着いた様子でこう語るのだ。
「これまでの出場時間を考えると、レギュラーとサブだと見られるかもしれないが、全員がレギュラーだと思っている。試合によってスタメンで出るのか、ベンチスタートなのかの違いだけで、このW杯は本当に総力戦だと思っている。選手たちも自分がサブだという考えは持っていないと思う。先発でも、途中出場でも、プレー機会ができたときには個の良さを生かしながらチームのために戦ってほしい」
負傷者続出で追い込まれているはずのチームの指揮官の言葉には聞こえなかった。
この前日会見で、驚かされることがあった。