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[追憶の三冠伝説]ミスターシービー「空白を埋めた5ハロンの豪脚」
posted2022/10/21 07:02
text by

江面弘也Koya Ezura
photograph by
JRA
ミスターシービーが三冠馬になってからもう39年になる。
調教師の松山康久は定年引退してから茨城県つくば市に移り住んだ。緑豊かな学園都市を毎日自転車で走っているという松山は79歳とは思えないほど元気で、学生が集まるカフェで待ってくれていた。
1980年の夏に松山が撮ったミスターシービーの写真がある。オーナーの千明牧場(群馬県)が母親のシービークインを預けていた岡本牧場(北海道浦河町)で見たミスターシービーは「惚れ惚れするほどすばらしい馬だった」と松山は言った。
「容姿端麗というかな。顔が凜としてうつくしい。こぼれるような目をしててね、瞳が真っ黒なんだよ。父親のトウショウボーイもきれいな顔をした馬だったけど、顔はシービークインに似てたかな。それで、皮膚は薄くて、ビロードみたいに輝いていて、血管まで透けて見えた。皮膚が薄いということは、伸縮性に富んでいるわけで、全身バネというか、弾力性があってね……」
松山の話を聞きながら、わたしも、若いときに見たミスターシービーの姿や走りを思いだしている。
デビュー戦は逃げきりだった。父も母も逃げ先行を武器としたスピード馬だったから、ミスターシービーもそうなるだろうと、このとき、だれもが思った。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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