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アマチュアでも野球力爆上がり! 動作解析とトレーニング支援を誰もが体感できる「ネクストベース・アスリートラボ」の実態とは
text by
熊崎敬Takashi Kumazaki
photograph byNEXT BASE
posted2022/10/20 17:00
最新機器を用いて動作を解析、その後評価と提案を行うことで、アスリートのパフォーマンスを向上させるメソッドを提供している
空振りは取れていたが、球質はイメージには程遠かった――。
その事実に直面した平良は、アナリストたちとともに球質の改善を図る。
研究熱心な彼は自費でラプソードを購入。登板前のブルペンでも、タブレットを手にして球質を入念に確認する姿が見られるようになった。
ネクストベースが平良に提案したのは、球質の改善だけではない。平良は新たに獲得したホップ成分を増したストレートを、従来の低めではなく、高めに投げるようになった。
これはネクストベースが、フォーシームは低めよりも高めのほうが空振りを取る確率が高いというデータを持っていたからだ。子どものころから、「低め低め」と言われてきた平良にとって、それはもうひとつの衝撃だったという。
感覚だけに頼らず、自らの投球を測定し、解析、評価を行ない、そこから適切なトレーニングに取り組む。理にかなった手順を踏むことで、平良は2年目のシーズンから急成長を遂げ、球界を代表するセットアッパーになったのだ。
野球のドクターのごとく
平良の活躍を陰ながら支える森本氏は、アナリストの役目を次のように語る。
「選手個々を測定したデータを私たちはカルテと呼ぶことがありますが、実際にドクターに近い役割だと思います。ラボに来る選手には、ピッチャーでもバッターでもまずアセスメントを行ない、その能力を解析、評価します。ドクターが患者さんに対してそうするように、私たちもまず選手の現状を正しく把握し、そこから先の処方を決めていく。これが私たちがやっていることの大枠です。選手の状態を正しく評価して、そこからトレーニングを行ない、その結果どうなったかをまた評価し、その上でまたトレーニングを行なう。こうしたサイクルをくり返すことで、選手が理想とするイメージに近づくお手伝いをしているのです」
平良がそうだったように、科学技術の発達によって、いままで見えなかったものが可視化されるようになったことで、回り道をすることなく短期間で能力を大きく伸ばすことが可能になった。
アスリートラボができたことで、いままでプロ野球選手や一部のトップアマだけが活用してきた最先端のデータやテクノロジー、思考に、一般のアマチュア、中高生たちも触れられるようになった。野球は今後、驚くべき進化を遂げるのかもしれない。
<後編に続く>