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「なぜ麻雀界には高学歴な選手が多いの?」京大卒のMリーグ人気実況者・松嶋桃に聞いてみた「麻雀は考えることを止めてはいけないゲーム」
text by
津金壱郎Ichiro Tsugane
photograph byYuki Suenaga
posted2022/10/05 11:01
京都大学卒という“異色の経歴”を持つMリーグの人気実況者・松嶋桃に聞いてみた
――経験があったのですか?
松嶋 ないです、ないです。発声などのスクールには行ってないんですけど、練習はやりましたね。
――どんな練習をされたんですか?
松嶋 一番やったのが、自分の声を聞くこと。私は自分の声が嫌いなんですけど、自分の声を録音したものをめちゃくちゃ聞きました。それで声の出し方や抑揚、喋るスピードを変えてみたりと、少しでも自分の声を好きになれるような喋り方を研究しましたね。
――実況をされることは、麻雀の実力アップに役立つんですか?
松嶋 もちろんです。実況は一局ごとの見どころをナビゲートするのが役目ですから、その局のどこがポイントかを瞬時に見分けなければならなくて。そのためには麻雀の知識や引き出しを増やす勉強が必要なんですよね。だから、ナビゲートの精度が高まれば高まるほど、自分が打ち手のときの目のつけどころもいいところに行くわけなので、相乗効果があると思っています。
――麻雀が好きでプロ雀士になられたら、実況者よりもプレイヤー側にまわりたい気持ちもあるのかなと想像するのですが。
松嶋 観ていたら打ちたくなるだろうと思われがちですが、私の場合はそれが全然ないんですよね。だから実況者が向いていたのかなとも思うんです。実況のときは実況、選手のときは選手って、別人格みたいになってます。
――麻雀に携わるすべてが好きなんですね。
松嶋 麻雀が好きだから、そこに携わる仕事をして食べていく。苛酷な司法試験の経験があるので、嫌なことはやらないんです。その代わりに楽しいことをちゃんと続けられるように、楽しいと思い続けていられるように努力をしようっていうのはあります。
松嶋桃に聞く「麻雀と学歴は関係するか?」
――松嶋さんにお聞きしたいのですが、なぜ麻雀界には高学歴な選手が多いのでしょう?
松嶋 そんなことないですよ。東大卒や京大卒などの高学歴は目立つので多いように見えるだけだと思います。ただ、麻雀は考えることを止めてはいけないゲームなので、学歴とは別のところで頭の良い人は多いですし、考えることが好きな人が揃っているのは間違いないですよね。
――麻雀は何十秒かそこらでツモ番が戻ってくる。そのたびに勝つための決断が求められるので常に頭を働かせていなければいけない。苛酷なゲームですよね。
松嶋 しかも100%の正解がないので、そこを突き詰めようという人は、本当に苛酷なものに立ち向かっていると思うんですよね。
――プロ雀士として、実況者として数多くのプロ雀士や対局を見ている松嶋さんの目からみて、高学歴な選手と叩き上げの選手なら、どちらが強くなれると感じますか?
松嶋 麻雀が強くなるのに、勉強ができるかどうかは関係ないと思いますね。ただ、勉強ができた人に唯一の強みを見出すなら、勉強の仕方を知っていること。受験勉強で合格という目的に向けた最短ルートのたどり方を身につけているので、それを活用できれば上達は早くなるかもしれませんよね。