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〈アントニオ猪木伝説の数々〉アリ戦で借金数十億円も「バカじゃないとやらない(笑)」「媚びるくらいなら…」反骨精神の源とは
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byNaoya Sanuki
posted2022/10/01 17:04
燃える闘魂アントニオ猪木。79年の人生は、あまりにも濃厚だった
52歳時に語った「死に場所と永遠のヒーロー」
<名言4>
死に場所を求めてウロウロする運命にあるんだなと思う一方、永遠のヒーローでいたいという矛盾する気持ちもある。
(アントニオ猪木/Number359号 1995年2月2日発売)
◇解説◇
猪木が52歳の頃、インタビューに応じた時の言葉だ。
当時、猪木は引退への「ファイナルカウントダウン」へ進むステージに入っていた。レスラーとしての迷いを感じさせる一方で……ドン・フライとの引退試合は3年後の98年。これだけの期間で“熟成”させていったのもまた、自分への注目度を理解していた猪木らしさといえるのだろう。
それから四半世紀を経た2020年、デビュー60周年を控えて、猪木はオカダ・カズチカとの対談に臨んだ。その際にプロレスラーとしてのプライドを、こう端的に語っていた。
「媚びるくらいなら怒りを力に変えて、こっちに振り向かせてやる」
猪木の対戦相手となったのは、数々のライバルだけでなく「世間」だった。野球や相撲で八百長問題が起きるたびに必ずプロレスが引き合いに出されると、猪木は「てめえら、首根っこ掴んででも見させてやるぞ!」と反骨精神を燃やしたという。
プロレスこそ格闘技の頂点、ストロングスタイルを貫く。そのエネルギーがあったからこそ、燃える闘魂はカリスマとなったのだ。