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〈アントニオ猪木伝説の数々〉アリ戦で借金数十億円も「バカじゃないとやらない(笑)」「媚びるくらいなら…」反骨精神の源とは
posted2022/10/01 17:04
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Naoya Sanuki
今回は、10月1日に自宅で79年の生涯を閉じたアントニオ猪木にまつわる4つの言葉です。
<名言1>
ハプニングこそ我が人生ですよ(笑)。
(アントニオ猪木/Number503号 2000年8月10日発売)
◇解説◇
アントニオ猪木ほど「波瀾万丈」の文字がしっくりくる人物はいないだろう。
幼くして父親が他界し、10代前半でブラジルに渡航。そこで力道山にスカウトされてプロレスラーの道を歩んだものの、師匠から苛烈な扱いを受けた。レスラーとしてもジャイアント馬場との「BI砲」や新日本プロレス立ち上げ、数々の異種格闘技戦や政治活動……。
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いや、それ以外にも、ブラジルの密林で毒蛇に噛まれたり、たびたび新事業開拓に力を入れたり、新宿伊勢丹前でタイガー・ジェット・シンに襲撃されたり。「人生、一寸先はハプニング」とは猪木の言葉だが、その歩みはたった一部だけでも――あまりに濃すぎる。
生きるための戦いが格闘技の魅力でしょう
「いつ何時、誰の挑戦でも受ける」
「元気が一番、元気があれば何でもできる」
「出る前に負けることを考えるバカはいるかよっ!」
「この道を行けばどうなるものか危ぶむことなかれ 危ぶめば道はなし 踏み出せばその一歩が道となる」
濃密な79年の人生を送った、アントニオ猪木の名言の数々だ。そんな猪木は各メディアに対しても「オリジナリティのあるワード」を数々残してくれた。それは「Number」の取材でもそうだった。例えば新団体IGF(イノキ・ゲノム・フェデレーション)を立ち上げた頃には、こんな言葉を残している。
「ライオンに食われる寸前のシカが、一瞬のタイミングを捉えて逃げていくような、生きるための戦いが格闘技の魅力でしょう」
猪木の言動は多くの人々を惹きつけていった。それは荒唐無稽さとロマンが共存していたからこそなのだろう。なお冒頭の言葉に、猪木はこうも付け加えている。
「でも結局ハプニングというのは、その当人が遊べるかどうか、面白いと思えるかどうかなんだよね」
俺たちの相手は大衆なんですから
<名言2>
俺たちの相手は大衆なんですから、大衆の支持を得られなくなったら終わりということですよ。
(アントニオ猪木/Number541号 2002年1月17日発売)
◇解説◇
猪木はレスラーとして、さらにはプロデューサーとしても世間を“ざわつかせ”続けた。
たとえば2001年の大晦日のことである。