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スターダム屈指の肉体派レスラー・飯田沙耶25歳の運命を変えた“推しと筋肉”「もう、制御しなくていいんだ」《特別グラビア》
posted2022/09/30 17:01
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
女子プロレス団体・スターダムに、小柄ながらパワーを感じさせるファイターがいる。飯田沙耶、25歳。緑の髪でキングコングのように両手で胸をたたき「マッチョ・ゴリさん」とも呼ばれている。そんな飯田のプロレスとの出会いは少し変わっていた。
「高校を卒業するくらいの頃だったと思います。好きな舞台俳優さんが『トランキーロ』なんてブログに書いていて、『何それ?』って。それまでプロレスは見ていなかったので、内藤哲也さんのことも知りませんでした。でもそれをきっかけに勉強して、『金の雨が降るぞ』はオカダ・カズチカさんだとわかるようになりました」
後楽園ホールで“推し”に遭遇「一気にハマりました」
飯田は“推しの俳優”が好きだったプロレスを見るようになった。小さい頃、夜中にテレビで見たプロレスには、楽しさを感じることができなかったという。
「プロレスの何が面白いのかな。でも、推しが好きなら見てみるか。そのくらいの感じでしたね。YouTubeでノアの三沢光晴さんの過去の試合映像を見たりして……。そのうち『生で観戦しなきゃ』となってノアの後楽園ホールに行きました。そうしたら、反対側の最前列に推しの俳優さんが座っていたんです。びっくりして、もう感激ですよ(笑)。矢野通さんが鈴木みのるさんと戦って、一瞬で決着がついて『ええっ!?』ってまたびっくり。そこから一気にハマりましたね。新日本への入口はビジュアル的に格好いい棚橋弘至さんなんですけれど、気持ちが乗るのは、石井智宏さんや柴田勝頼さんの試合。もしプロレス教室があれば、すぐ始めたんでしょうけど(笑)」
知らず知らずのうちに、飯田はプロレスという世界に向かっていた。
「TAKAみちのくさんの興行に行ったら、1試合だけ女子の試合があった。紫雷イオさんや葉月さんが出ていて、スターダムという団体を知ったんです。そこから今度はスターダムを見に行きました。第1試合で羽南さんやルアカさん、自分より若い子が戦っているのを見て、『戦う女性は格好いい』と憧れを抱いたんです。母親が強い人なんですよ、元ヤン説もあって(笑)。女子プロレスはそんな女性の強さを体現してくれていた。『私もなってみたい!』と思いました」