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甲子園の風BACK NUMBER
「大阪桐蔭はじめ甲子園組は別世界の人」「私学とも戦える戦力に」府内屈指の超進学校も興味を示す“スーパー大連合チーム構想”とは
posted2022/10/03 11:01
text by
清水岳志Takeshi Shimizu
photograph by
Hirakata Nagisa HighSchool
枚方なぎさ高校野球部顧問の磯岡裕教諭(44歳)のメールの内容は革新的だった。
〈高野連を脱退して「全国公立高等学校野球選手権大会」を行う〉という構想を真剣に考えていたからだ。
40人くらいまで集まれば、それなりに
そしてもうひとつ、大胆な考えを思いついたという。
現在の連合チームを、もっと大きな連合チームとして組織して私学に対抗しようというのだ。ヒントは箱根駅伝の関東学生連合チームだという。
〈スーパー大連合チームを作って公式戦に出場する。人数が少ない高校でも一人や二人は中堅私学に劣らない部員がいるものです。近隣の学校を中心として5、6校が集まって総勢30~45名くらいの連合チームを作って試合をする〉
これこそが、これからの公立が生き残る道です――というから、詳しく話を聞きたくなった。磯岡は大連合の構想について、このように語る。
「平日は各校で課題練習、週末は中心になる学校に集まって練習や試合を行う。40人くらいまで集まれば、それなりにチームが成立し、私学とも戦える戦力になる。練習にも活気が生まれ、切磋琢磨して部活動らしさを体験できると思います。
さらに連合になるので指導者の数は増え、3チームぐらいに分けて試合経験を積ませていくこともできる。きめ細かい指導も可能でしょう。固定観念から脱却した色々なアイディアを出し合うことが大切だと思います」
磯岡は同校のSNSを積極的に活用しており、それに敏感に反応した人がいる。教育ベンチャー『First Penguins Company(FPC)』の藤田晋太郎さん(39歳)だ。
その気があるならピアスを外せ
藤田には「大阪の公立高校監督で甲子園を目指す」という夢がある。
大阪の名門府立・北野高校で主将を務めたのち、神戸大で考える野球を実践してきた。卒業後2年間は大阪の社会人クラブチームで現役を続ける。教員採用試験の準備をしながら都市対抗・クラブ選手権出場を目指していたという。
採用試験に合格し、初任地は池田北高校(現在は閉校)だった。
「公立を甲子園に連れていくという心意気で教師になっているから、生徒にも言いました。『その気があるならピアスを外せ』って」
ヤンチャな高校生への熱血指導が実って、夏、7年ぶりに勝利をもぎ取った。秋も2勝したが、部員の不祥事や自身の現役復帰への想いが交錯し、辞任と復帰を繰り返した。