フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
フィギュアルール改正で選手への影響は…日本人ジャッジが解説する「なぜ変更が必要なのか?」年齢制限の懸念は“年の差パートナー問題”
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2022/10/02 17:00
ISU総会で決議されたルール改正。新基準の年齢制限は、シングルだけでなく、ペアなどにも影響を与える可能性があるという
「トランジション」はどこに?
岡部さんは、新しくなった3コンポーネンツに関してこう説明してくれた。
「3つになったコンポーネンツは、『コンポジション』『プレゼンテーション』と『スケーティング技術』です。『コンポジション』は、振付も含めてプログラム全体がどのような構成になっているのか、音楽をどのように使用し関わり合っているかなど。『プレゼンテーション』というのは、その日の演技の質。これまで『パフォーマンス』と呼ばれていたのですが、本当に毎回違うその日の演技を評価する、ということを強調するために、『プレゼンテーション』とされたと私は考えています」
削除された2つのうちの1つ「音楽の解釈」は、「プレゼンテーション」に含まれて良いものだろう。だが「トランジション/つなぎ」はどうなのだろう。
「トランジションは、何が行われたのか、その多様さと質などはスケーティング技術の中に、全体のつなぎの内容などは『コンポジション』の中に含まれます」
選手の演技への影響はあるのか?
岡部さんは今シーズンすでにいくつかの国際大会を経験し、実際思ったよりもこのトランジションの評価の部分が難しいことを実感したという。
「どこまでを(スケーティング技術とコンポジションの)どちらに入れるのか、これまでよりも難しく感じました。でも慣れるしかないので、頭の中できちんと整理しなくてはと思っています」
その一方で、他のジャッジからは「5項目が3項目に減ったというだけで、だいぶ楽に感じます」という声もある。だがこれによって、採点結果が以前と大きく変わったという傾向は今のところ見られない。
「実際に選手たちがやるべきことは、これまでと全く変わりません。ただ構成(コンポジション)とプレゼンテーションを分けることにより、構成の内容はあるけれど、今日のプレゼンテーションはよくなかった、ということがよりはっきり出てくるかと思います」