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憧れの日本選手権で「得たものはツイッターの『いいね』ぐらい…」筑波大大学院→TikTokで大バズリ、三津家貴也が語る中距離ランナーの現実 

text by

佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

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photograph byYuki Suenaga

posted2022/10/22 11:01

憧れの日本選手権で「得たものはツイッターの『いいね』ぐらい…」筑波大大学院→TikTokで大バズリ、三津家貴也が語る中距離ランナーの現実<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

ランニングをメインとした動画投稿を行い、インフルエンサーとして活躍する三津家貴也さん。本人にTikTokで話題になるまでの話を聞いた

「もう、ずっと気が張った状態で仕事をしていました。そうしたら交感神経と副交感神経のバランスが崩れて、あまり寝られなくなったんです。そうして心と体に負担がかかり、職場で倒れてしまいました。咳が止まらなくなり、何もやる気が起きなくなってしまって……いわゆるうつ病でした」

 自宅に引きこもり、何も手に付かない状態がつづいた。三津家さんのそんな状態を心配して、友人たちが声をかけてくれた。ランニングクラブ“健ちゃん練”を主宰する松永健士さんやケツメイシのリーダー大蔵さんに「走りにおいでよ」と声をかけられ、重い腰を上げて顔を出した。そこで普通に走ることの楽しさを実感した。

やっぱり陸上は楽しい。それを伝えていきたいと思ったんです

「これだって思いましたね。僕は、ランニングをする楽しさを忘れていたんです。真面目にタイムを追ったり、早く走るためのノウハウを提供するのも大事ですが、やっぱり陸上は楽しい。僕はこの時感じたことを大事にしたいと思いましたし、それを伝えていきたいと思ったんです」

 会社を退社し、個人でSNSを通じて活動しようと決めた。会社員時代、陸上競技をやっている人に向けてというスタンスで動画を作っていた時は、世間の多くの人には見てもらえなかった。陸上の楽しさを伝え、広めるためには陸上好き以外の一般の人にも面白いと思って見てもらう必要がある。それを意識して、TikTokから始めたが、最初は視聴回数が増えなかった。

「一般の人にどんなものを出せば刺さるのか。それが自分のテーマだったんですが、最初は何を出していけばいいのか分からなくて(苦笑)。でも、陸上を知らない人が見ても面白いと思ってもらえるような、例えば日常の出来事の動画を出していくことで徐々に見る人が増えていきました。あとは、毎日ライブ配信をしていましたね。自分の好きな陸上の魅力や活動を理解してもらうために会話を重ねて、自分の仲間をひとりずつ増やしていきました」

転機となった、ある視聴者からのコメント

 そして、ある時、転機が訪れる。

【次ページ】 バズった理由を本人が解説

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三津家貴也
筑波大学

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