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「女子のチームとは全然違うんですよ」バスケW杯まで1年、ホーバスHCが描く男子代表の最終形態…八村塁、渡邊雄太ら海外組の融合は?
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byfiba.basketball
posted2022/09/05 06:00
来年8月に開催するW杯に向けてビジョンを語ったトム・ホーバスHC。開催国枠での出場が決まっているが、アジア予選に参加してチームづくりを進めている
ホーバスは、女子日本代表にアナリティックバスケットボール(得点効率が高い3ポイントとゴール下のシュートを重要視するなど、スタッツ分析をもとに組み立てた戦術)を持ち込み、東京五輪での銀メダルへと導いた。そのことについてホーバスは「うちはアナリティックをやらないと金メダルを取れないと思った」と話していた。
というのも、女子バスケットボール界は今でも昔ながらのビッグマン中心の戦いをする国が多いのだ。支配力があるビッグマン相手に、サイズで劣る日本代表は同じ戦いでは勝ち目がない。そこで3ポイントを武器とするアナリティックバスケットボールを突き詰めることがメダルへの道だと信じていた。実際、決勝でアメリカに敗れて金メダルこそ取れなかったものの、見事に銀メダルを獲得した。
アナリティックバスケットボールだけでは通用しない
しかし、男子の世界はまた違う。NBAでは数年前からアナリティックバスケットボールが主流となり、センターを中心としない戦いは当たり前。その考え方は各国代表の戦いにも浸透している。対応策も進んでいる。女子ほど支配的なビッグマンに悩まされることはないかもしれないが、単にアナリティックバスケットボールを採用するだけでは世界と対等に戦うことはできない。
「だから、相手のチームよりもっと上手にできないんだったら勝てない。だからもっともっとレベルアップしないと」とホーバスも言う。そう言った後で「(レベルアップ)できるよ」とも付け足した。
このポジティブな思考と高い目標はホーバスのコーチングの特徴のひとつだ。今も21歳の河村勇輝をはじめ、若手選手たちの持ち味を引き出し、さらに上を目指すようにはっぱをかけてモチベーションを高めている。個々の選手の成長こそが、今の日本代表に必要なことだからだ。