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「女子のチームとは全然違うんですよ」バスケW杯まで1年、ホーバスHCが描く男子代表の最終形態…八村塁、渡邊雄太ら海外組の融合は?
posted2022/09/05 06:00
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph by
fiba.basketball
「このチームと女子のチームは全然違うんですよ。全然違う。高田いないじゃないですか」
バスケットボール男子日本代表のヘッドコーチ、トム・ホーバスは、去年の東京五輪で史上初の銀メダルを獲得した女子日本代表と、五輪後に率いている男子日本代表を比べて、そう言った。
ホーバスHCが「いない」と名指しで挙げたのは東京五輪で女子代表のキャプテンでスターティング・センターを務めた高田真希。外角のシュートを向上させた高田は、3ポイントを武器とするファイブアウト(試合に出ている5人全員が外にポジションを取る戦術)において重要な役割を果たした。
しかし、男子代表においてホーバスはまだ高田のような、外からもプレーできるオールラウンドな“ストレッチファイブ”(ディフェンスを外に引っ張り出せるようなセンター)を見つけることができずにいた。
8月30日に沖縄アリーナで行われたワールドカップアジア予選カザフスタン戦で、3年ぶりの日本代表復帰となった37歳のニック・ファジーカスをロスターに入れたのも、身長207cmでシュート力があるファジーカスがチームにどうはまるかを見てみたかったからだ。
「この問題、好きですよ。パズルですよ」
といっても、ホーバスは銀メダルを取った女子代表の写し鏡のようなチームを作ろうとしているわけではない。高田のような選手がいないのなら代わりに戦術をどう変えるのか。選手をどう組み合わせるのか。そのチャレンジを「パズルのよう」と言い、そのチャレンジを楽しんでいる。
「バスケットボールはいつも変わっているよ。うち(男子代表)のバスケットもこの1年ですごい変わった。色々新しい動きをやっているんですよ。何が一番いいか、今、探している。考え方は(女子代表のときと)いっしょ。ペイントアタックと3ポイント。あとパッシングを上手にやって、チームワークよくやって、カッティングよくやって。
一般的な考え方はいっしょだけど、このチームと女子のチームは全然違うんですよ。高田いないじゃないですか。高田がいない、ストレッチファイブのセンターがいないんだったら、どうやるか。この問題、好きですよ。どうやってこのメンバーで上手にできるか。パズルですよ」