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「女子のチームとは全然違うんですよ」バスケW杯まで1年、ホーバスHCが描く男子代表の最終形態…八村塁、渡邊雄太ら海外組の融合は?
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byfiba.basketball
posted2022/09/05 06:00
来年8月に開催するW杯に向けてビジョンを語ったトム・ホーバスHC。開催国枠での出場が決まっているが、アジア予選に参加してチームづくりを進めている
唯一、まだホーバスのもとでプレーする機会がない八村についても、ホーバスは心配していないという。
「塁をどうやってフィットするか、まだわからないんですよ。でも塁もプロフェッショナルじゃないですか。雄太もプロフェッショナルだから、このバスケットをすぐわかったんですよ。塁が入ったらこのプレーがいいかなとか、このプレーをやったら塁とか雄太がすごいいいコンビにできそうかなとか、よく考えています」
そんなホーバスにとって、力強い味方がいる。八村が所属するワシントン・ウィザーズでアシスタントコーチを務めるディーン・オリバーだ。オリバーが執筆した『バスケットボール・オン・ペーパー』(2005年出版)はバスケットボール界にスタッツ分析を広めるきっかけとなった草分け的な書籍だ。ホーバスはそのオリバーと連絡を取り合い、ウィザーズでの八村のプレーに関する最新情報を得ているのだという。
「ワシントン・ウィザーズのディーン・オリバーとよく話しています。塁のいいプレーとか、あまりよくないプレーとか、ポイント・パー・ポゼッション(PPP=攻撃回数あたりの得点)とか、話しているんですよ。だから、うちのチームに入ったときには塁の好きなプレーをやります。ウィザーズとうち(日本代表)の考え方にギャップがありすぎだったら塁が大変です。でもそんなに違わないので、全然問題ないと思います」
そういった細かなことが、すべてチーム作りにとっては重要な要素となる。ホーバスはさらにこう語った。
「この先、一番大事なことは、もちろん塁、雄太、馬場がみんな戻ってくること。そして帰化選手は誰がいいかを見つけること。ルーク(エバンズ)もすばらしかったし、ニック(ファジーカス)もよかった。みんなプラスとマイナスがある。その中で私たちがやろうとしていることにどうはまるのか。それは難しいことであるけれど、と同時に楽しいことでもあります。楽しみにしています」
「中国戦から思ったより良くなった」
女子代表も、最初から銀メダルを取ったときのような完璧なチームではなかったが、様々な経験を重ねたことで成長していった。それと同じような成長を、今、ホーバスは男子代表にも見ている。
「(去年11月に行われたワールドカップアジア予選の)最初の中国戦はけっこう(大差で)負けたじゃないですか。あのときはどうかなと思ったんですけれど、そこから思ったよりよくなった。だから道が見える。(この先)塁が入って、雄太が入って、馬場も入って、道がすごい見えます」
FIBAバスケットボールワールドカップ本番まで1年を切った。その間にどれだけチームのパズルをはめ、成長させることができるのか。ホーバスの、そして男子代表のチャレンジは続く。
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