甲子園の風BACK NUMBER
有望球児は中学から“進学塾”状態、ヘルメット1つで8000~1万円、体育着OKの公立校…意外と知らない「高校野球の最新マネー事情」
text by
手束仁Jin Teduka
photograph bySports Graphic Number
posted2022/08/07 11:00
高校野球の最新マネー事情はどうなっている?(写真はイメージです)
チームによって多少は異なるが、入会金は一般的には3~5千円前後。場合によってはもう少しかかるところもある。さらに会費として月額千円から3千円くらいを納めるケースがほとんどだ。用具代としても、年間2万円から3万円程度はかかっている。スポーツ用品店などを営んでいる人がスタッフに絡んでいると、練習着や用具などは、そこで一括して購入というところもある。
ざっと見て、低く見積もっても用具関係だけで年間に5~6万円程度のお金は子どもの野球にかかっていることになる。これを高いと見るのか、そうでもないと感じるのかは人それぞれだろうが、フィギュアスケートやスキーといったウインタースポーツの場合であれば、用具代も遠征費などもよりお金はかかる。
進学校を目指す生徒が進学塾に通うのに似ている
現在のスポーツエリートと言われる選手たちは、幼少時から特別な練習環境を与えられているということも多い。早い段階からスペシャリストとなっていくのだが、そういった選手たちは、子どもの時代から親も相当な額を注いできているのだ。
また、進学塾でエリート教育を受けていく子どもたちも、学習塾代だけではなく教材費も含めて、それなりの金額を支払わざるを得ない。それは、親にとっては子どもの将来も見据えた教育費という捉え方になる。
中学生をシニアやボーイズといったクラブチームに入れるということは、言うならば偏差値の高い進学校を目指していく中学生が、学校の授業だけでは足りなくて進学塾に通うことにも似ている。だから、会費や運営費という形や月謝として、クラブチームにお金を払うのは当然という考え方である。高いレベルの野球を身につけて、すでに高校入学の段階で注目されるような存在になるには、その選手の持つ能力もさることながら、親の期待値も含めてかなりのお金が注ぎ込まれていることは確かだ。
スポーツ推薦で有名大学を目指すルートはあるが
もちろん、それだけのお金がかかっているのだから、その先(高校野球の引退後)も見据えている。まずは、野球の強豪校と言われているところへ進学して、そこで正選手を目指す。甲子園出場が果たせられれば、一つの夢は実現したことになろう。そして、さらにその先には野球推薦なり、特待生なりで大学進学を目指していきたいという選手もいるだろう。
考え方としては、スポーツ推薦でもいいから難関大学、有名大学と言われているところへの進学を目指すという選択肢である。そして、その先にプロ野球選手を見据えていくという将来展望もある。あるいは大学野球を経て、さらに野球を続けて大手企業で社会人野球を目指していきたいと人生設計をしていることもあるだろう。