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92歳を指導も…Mリーグ優勝・内川幸太郎が語る、プロ雀士のリアルな生活と収入事情「麻雀業界は未成熟。自分で仕事を作るしかなかった」 

text by

曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2022/07/28 11:02

92歳を指導も…Mリーグ優勝・内川幸太郎が語る、プロ雀士のリアルな生活と収入事情「麻雀業界は未成熟。自分で仕事を作るしかなかった」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

KADOKAWAサクラナイツのメンバーとして、Mリーグ制覇を成し遂げた人気Mリーガーの内川幸太郎

「ご年配の生徒さんを“お見送り”することもたくさんあった」

――生徒さんはどんな年齢層の方がメインでしたか?

内川 生涯学習館なので、主に後期高齢者の方が対象です。一番若くて60代後半、最高齢だと90歳以上ということもありました。そのみなさんを初心者クラスと経験者クラスに分けて教えるわけです。そういえば一度、経験者クラスに参加した92歳のお爺さんが九蓮宝燈をアガったことがありましたね。あのときは「来週も無事に来てくれるかな……」と少しドキドキしました(笑)。

――スリリングなエピソードですね(笑)。教室はどれくらいの規模だったんでしょうか。

内川 1クラス12名から24名で、1週間でだいたい200名くらいだったと思います。麻雀は教える側でしたが、むしろこちらが多くのことを学ばせてもらいましたね。年齢的にはもう孫みたいなものなので、みなさんとてもかわいがってくれて……。講師をしていた10年間で、ご年配の生徒さんとお別れすることもたくさんありました。たぶん20人くらいはお見送りしたんじゃないかなぁ……。でも、つい最近も当時の生徒の方から「Mリーグ優勝おめでとう」とご連絡をいただいて、とても励みになりました。

「打ち続けられる間は現役で打っていたい」

――そういった反響も含めて、Mリーグの隆盛によって競技麻雀を多くの人が楽しむ状況が生まれていますが、人気の高まりを肌で感じることはありますか?

内川 麻雀教室や勉強会を開くと、想定の何倍もの応募が集まるようになりました。特に若い生徒さんがすごく多くて、みなさんMリーグを見ているんです。サクラナイツが優勝したことで「こんな人たちも応援してくれていたんだな」と気付かされることも多くて、それこそ部室で一緒に麻雀を打っていた高校の同級生から「見てるよ」って連絡が届いたり、「変わったね」「大活躍だね」って言ってもらえたり……。部活と麻雀しかしていない生徒だったので、きっとポジティブな意味での「変わったね」だと思います(笑)。

――今後、Mリーグをはじめ競技麻雀にどんな発展を期待していますか?

内川 僕らの世代くらいまでは、「19時になったらテレビをつけてプロ野球を見る」みたいな文化があったじゃないですか。それと同じように、シーズン中は19時になったらMリーグ中継を開いてもらって、実況の日吉辰哉さんや小林未沙さん、松嶋桃さんの声を聞いてもらう……という文化が定着してくれたら嬉しいです。

――ひとりのプレイヤー、あるいはMリーガーとして、内川プロが思い描いている未来について聞かせていただければ。

内川 打ち続けられる間は現役で打っていたいです。特にMリーグのような舞台で麻雀が打てるというのは、麻雀プロとしてすごく幸せなことですから。本当に逃げたくなるような、プレッシャーで胃が痛くなるようなこともたくさんありますけど、それ以上にアドレナリンが出ているのが自分でもわかるんです。やっぱり、あの真剣勝負の興奮は何ものにも代えがたいですね。

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