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身長195センチ、体重95キロ…“史上最強のフードファイター”ジャイアント白田43歳が「大食いは才能8割、努力2割」と語る納得の理由
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph byShiro Miyake
posted2022/07/27 11:02
史上最強のフードファイターと言われたジャイアント白田。現役時代の過酷なトレーニングなどについて明かした
「努力しないと、胃の容量を保てなかった」
身長195センチ、体重95キロの日本人離れした体躯と類まれなる強靭な胃袋。数々の猛者たちの中でも頭一つ抜けた存在である白田は、大食いの才覚の塊のように見える。だが、白田は自身を「努力の人」と表現した。
「僕は調整期間が長いことで有名なんですよ。例えば(小林)尊は1カ月もあれば水だけで十何キロという胃の容量を作ってしまう。彼いわく、胃にもマッスルメモリーがあって、一度伸ばしてしまえば、水だけでバーンと膨らませることができる。でも僕は大食いする機会がないと、胃がどんどん硬く小さくなってしまうんです。2005年に大食い番組が復活した時も本当に苦労しました。
引退して数年後に、過去の大食いチャンピオンを集めた最強戦のオファーを受けたときは、2カ月くらい調整期間があったんです。1カ月で8キロくらいまで胃の容量を増やしたけど、そこから全然伸びなかった。だから僕の場合はほんとに努力を重ねないと、胃の容量を保てなかったんですよ」
その努力とは、胃のトレーニングのことだ。アスリートが日々のトレーニングで己の身体を磨くように、フードファイターの生まれ持った胃も「食トレ」によってさらに強靭なものへと進化する。白田の場合、デビュー時点で6キロだった胃の容量はピーク時に12.5キロまで膨れ上がった。
現役時代の過酷すぎる“大食いトレーニング”とは?
白田は「柔軟体操」を例に挙げ、独学で生み出したトレーニング理論を解説する。
「胃は筋肉なので柔軟性があって。柔軟体操と同じ理論で、胃の限界まで食べ物を詰め込んで、内側から外側に圧力をかけていって『可動域』を広げるんです。よく早食いは、身体が満腹を感じる前に食べすぎちゃうからよくないって言うじゃないですか。それを逆説的に攻めていく感じですね」
例を挙げるとしたら、カレーと水を1対1で流し込んでいくのだという。8キロの胃の場合、カレー4キロと水4リットルを一気に詰め込み、その重みで胃を広げていく。現役時代はこうした食トレを一日一食行い、トレーニング後にはヨーグルトや野菜ジュースで胃の調子を整えていたそうだ。
まさにダイエットに逆流する手法だが、体重が急に減らなくなる「停滞期」のように、胃が広がらなくなる“10キロの壁”があったという。
「初めは食道手前くらいまで詰め込んでいる感覚が、その後に食べ物が下に落ちる感覚があるんです。少しスペースができたと思ったらさらに食べ物を詰めて追い込んでいって、8キロくらいまではすっと伸びていったんですよ。でも、10キロを超えたあたりからはなかなか大変。100グラム記録を伸ばすために3回くらいトレーニングをこなすんです。ピーク時の12.5キロまで伸ばすのは一苦労でした」