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身長195センチ、体重95キロ…“史上最強のフードファイター”ジャイアント白田43歳が「大食いは才能8割、努力2割」と語る納得の理由
text by
荘司結有Yu Shoji
photograph byShiro Miyake
posted2022/07/27 11:02
史上最強のフードファイターと言われたジャイアント白田。現役時代の過酷なトレーニングなどについて明かした
白田がどうしても苦手な食材は…
この体感しがたいトレーニングを数カ月積み重ね、大会1週間前には本番シミュレーションとして、限界まで食べ物を詰め込む「刺激練習」を入れていたそうだ。試合会場に行くまで食材は明かされず、あくまでイメージトレーニング。ちなみに苦手な食材を聞いてみた。
「僕は卵料理がね、ダメなんですよ……。デビュー戦がトラウマになってるんです。2回戦でほんとに最悪な気分になるくらい温泉卵を食べたのに、3回戦が卵とじのカツ丼だったんですよ。しかも卵黄が1個トッピングしてある。あの一日で100個近い卵を食べたんじゃないかな。
卵の黄身って独特の香りがあるじゃないですか。出だしはすごく美味しいのに、食べ進めていくうちにあの個性的なにおいとコクがすごくしんどくなる。特にいい卵を使ってる親子丼はできれば避けたい食材でしたね」
「これは現役当時は誰にも言わなかったけど…」
逆に得意料理には「ラーメン」を挙げた。スープを吸って麺が膨らみ、やけどの恐れもあるラーメンは、フードファイターが苦手とする料理の一つだが、この制し方に白田の大食い理論が光る。
「確かにラーメンは食べ方が難しいんです。例えば20杯食べるとして、1杯あたり10回すすったら、20杯で200『すすり』しますよね。1すすりに対してスープが10グラムついてきたら、それだけで2リットルも飲みこむことになるわけです。
その1すすりについてくるスープの量をいかに減らすかが肝なんです。あとはラーメンを食べると口の中が熱くなって水を飲むじゃないですか。これは現役当時は誰にも言わなかったけど、僕はちょっとだけ水を口に含んでからすすっていたんです。そうするとすすった時の勢いで、口の中に水が攪拌されてうまいことやけどしないんです」
引退前ラストファイトとなった2007年の「元祖!大食い王決定戦」の決勝戦の食材もラーメンだった。2連覇を決めた勝負は「心理戦でした」と振り返る。
「あえて序盤からオーバーペースで突っ込んだんです。序盤に差が開いてしまうと後々追いつけないから、周りもオーバーペースで突っ込む。その流れを作っておいて、途中でしれっとペースを落とすんです。その間も周りはペースを落とさないから、スープとか水とか摂らなくてよかったものを余計に飲んでしまう。後半でガクッとペースが落ちたところで差を詰めて、ラストで差すという感じでした」