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「初戦でつまづくと心理的重圧が」「日本の弱点?それは私の…」ドイツ代表監督がココだけに語るW杯への戦略〈フリック独占インタビュー〉
text by
アレクシス・メヌーゲAlexis Menuge
photograph byKYODO
posted2022/07/19 11:10
バイエルンも率いた名将ハンジ・フリック。W杯へどんな戦略を練っているのか
――現ドイツ代表の基本布陣は4-2-3-1。攻撃では片方のサイドバックが高い位置を取りつつ、反対側のサイドバックが最終ラインに残り、3バックでビルドアップする場面をよく目にします。この『非対称可変システム』もニュアンスですか。
「その通り。カウンターを防ぐために、自分たちの攻撃中にどうスペースを埋めるかが大事。後方に穴を作ってはいけない。たとえば左サイドバックのダビド・ラウムが高い位置を取れば、右サイドバックのティロ・ケーラーが最終ラインに入る。ピッチの空間を分割し、選手に割り振っている」
――ドイツではボールを失った直後の即時奪回を「ゲーゲンプレッシング」と呼び、ユルゲン・クロップ監督がリバプールで実践して有名になりました。代表も「ゲーゲンプレッシング」にこだわる?
「もちろん。現代サッカーでは極めて重要な要素だからね。私が監督になってから最も改善された部分だ。W杯までにはさらにゲーゲンプレッシングの強度を高めたい」
――あなたは招集外の選手に電話して理由を説明するなど、優れたコミュニケーターとしても知られています。選手との会話では何を心がけていますか。
「全員がチームに必要であると、しっかりと伝えること。『信頼している』という印象を与えるようにしている」
――先ほど名前が上がったラウム(24歳)の他にも、バイエルンのジャマル・ムシアラ(19歳)、フライブルクのニコ・シュロッターベック(22歳)ら若手を積極的に起用しています。彼らに何を期待しますか?
「W杯は一瞬一瞬を楽しむチャンスと捉え、『4週間で5年分の成長をした』と言えるような時間を過ごして欲しい。我々は心のタンクに自信というガソリンを溜め込んでいる。緊張せず大会に臨んでほしい」
アサノ?とても俊敏で、即座にプレスを
フリックの手腕でチームは完全復活し、ドイツ国内では期待の声が高まっている。フリック自身もそのつもりだ。3月の合宿の際、選手たちにこう訴えた。
「W杯で優勝しよう」
だが、どんなに準備段階で好調でも、グループステージでは何が起こるかわからない。日本、スペインなどと同居するE組をフリックはどう見ているのだろう。
――あなたが視察した4月2日のホッフェンハイム対ボーフム戦で、浅野拓磨が2ゴールを決めました。どんな印象でした?