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猫ひろし「夜11時に仕事を終え、皇居の周りを40km走り…」オリンピック出場を叶えた、過酷すぎる“マラソンと芸人の両立”

posted2022/06/24 11:02

 
猫ひろし「夜11時に仕事を終え、皇居の周りを40km走り…」オリンピック出場を叶えた、過酷すぎる“マラソンと芸人の両立”<Number Web> photograph by Shiro Miyake

マラソンのカンボジア代表としてリオデジャネイロ五輪にも出場した、お笑い芸人の猫ひろし

text by

音部美穂

音部美穂Miho Otobe

PROFILE

photograph by

Shiro Miyake

テレビ番組『オールスター感謝祭』をきっかけにマラソンにのめり込み、カンボジア代表としてオリンピックにも出場したお笑い芸人の猫ひろし(44)。これまで行ってきたストイックなトレーニングの内容や、芸人との両立などについて聞いた。(全3回の2回目/#3へつづく)

「練習すればするだけ、自分に返ってくる」

 マラソンの魅力について、猫ひろしはそう語る。

 彼の初マラソンのタイムは3時間48分。そこから練習を重ね、レースのたびにタイムは着実に伸びていった。

「2時間30分台に到達するまでは、想像以上に順調でした。『この分だと世界記録出せるんじゃないか』って本気で思っていましたから。

 でも、その後、なかなか記録が出せなくなってしまったんですよ。こういった長いトンネルに入るのは誰にでもあることらしく、ある実業団ランナーの方に『あきらめずに練習していれば、必ずタイムが出るから』って励まされて。その言葉を信じて腐らずに練習を続けていたら、2015年の東京マラソンで2時間27分48秒を出せた。やっぱり努力は裏切らないんだと実感しました」

猫ひろしが実践する“ガチ練”の内容とは?

 自他ともに認める練習の虫。タイムが順調に伸びたのも、スランプを抜け出せたのも練習の賜物だが、猫いわく、「やはりコーチの指導が大きい」らしい。

「マラソンコーチの中島進さんの指導を受け始めてから、劇的に走りが変わりました。

 マラソンを始めた当初は、練習のやり方を全然知らなかったので、ただ走ればいいんだと思っていたんです。でも、マラソンには専門的な練習方法がたくさんある。自己流で頑張っているけれどタイムが出ずに悩んでいる人は、コーチをつけてみたほうがいいと僕は思います」

 練習は1日たりとも休まず、コーチ考案のメニューを忠実にこなす。

 また、ランニングに加えて週2回、ジムに通ってトレーナーの指導のもと、加圧トレーニングも行っている。

「毎日全力で走っているとケガをしてしまうので、日によって異なるメニューが設定されています。

 月曜日はゆっくりめのジョギングと加圧トレーニング。翌日は体が筋肉痛になっているので、火曜日はジョギングのみ。水曜日はスピード練習といって、1000m×5本など、短めの距離を全速力で走って心拍を追い詰める練習をする。木曜日はまた加圧トレーニング、金曜日はジョギング、土曜日はジョギングの最後に1000mを1本走って体に刺激を入れ、日曜日はロングで20~40kmを速いペースで走る。それを繰り返しています」

 疲れた筋肉をほぐすために整骨院に通い、入浴法にもこだわっている。

「熱いお風呂に3分、冷水に1分つかる交代浴を1日5セット。そうやって血行をよくすることでぐっすり眠れるし、ケガの予防にもつながるんですよ」

【次ページ】 芸人とマラソンを両立する練習法

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