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猫ひろし「夜11時に仕事を終え、皇居の周りを40km走り…」オリンピック出場を叶えた、過酷すぎる“マラソンと芸人の両立”
text by
音部美穂Miho Otobe
photograph byShiro Miyake
posted2022/06/24 11:02
マラソンのカンボジア代表としてリオデジャネイロ五輪にも出場した、お笑い芸人の猫ひろし
「サボっているとすぐにばれるんですよ」
「ランナーはみんな痩せているので、最初はダイエットをしなくちゃいけないんだと思いこんでいて、お腹がすいたら『都こんぶ』や茎わかめをしゃぶってまぎらわせていたんですよ。でも、ただ痩せればいいというわけじゃなくて、栄養が足りないと走れない。管理栄養士さんに相談したところ、『たくさん食べてたくさん走って体重を落とす』とのこと。
4時間空腹を作ると筋肉に栄養がいかなくなるらしいので、食事と食事の間にプロテインを飲むようにしているんです」
空腹を作らないようにといっても、太ると身体に負担がかかり、スピードも落ちるため、脂質を取りすぎるのはNG。栄養士の指導により、脂質や甘いおやつは控えているそうだ。
「最近、タンパク質ブームなのか、『タンパク質○g配合!』と書いてある商品って多いですよね。プロテインもタンパク質の謳い文句ばかりに目がいきがちなんですが、脂質がたっぷり入っているものもあるので、きちんとチェックしないといけない。
週2回の加圧トレーニングのたびに体組成計に乗るので、数字で現実を突きつけられる。サボっているとすぐにばれるんですよ。
体重は、レースの時は46kg台まで絞りますが、普段は48~49kg。レースの3カ月前ぐらいから身体を作って、食事も変えていくので、自然と体重が落ちるんです」
ストイックにマラソンに向き合い続ける理由
なぜ、そこまでストイックに頑張れるのか。そう尋ねると「一流じゃないから」という答えが返ってきた。
「一流の人って、生活のすべてをマラソンに捧げていて、レースにきちんとピークを持っていくことができる。
でも僕はそうじゃない。ただ、一流じゃないからこそ、せめて自分ができる努力だけはきちんとやろうと思って。
今年45歳ですが、ピークのコントロールや身体の状態、当日の気候など、すべての条件が揃えば、もう一度自己ベストを出すのも夢じゃないと思っています」
〈続く〉