「芸人なのに真剣にスポーツなんて…」マラソン活躍の裏でネタ番組のオファーは激減、猫ひろし（44）が抱えていた葛藤

　タレントからオリンピック選手へ――。一見、無謀とも夢物語とも思える挑戦を、現実のものとした男がいる。マラソンでリオデジャネイロ五輪への出場を果たした芸人の猫ひろしだ。

　今年45歳になる彼がマラソンを始めたのは、30歳の時。

「ニャ～」の決めポーズや「ポーツマス！」などの一発ギャグでブレイクを果たした頃、『オールスター感謝祭』（TBS系）の名物企画「赤坂5丁目ミニマラソン」（以下、赤坂マラソン）に出場したことがきっかけだった。

「もともと走るのが好きで、特に長距離は得意だったんですよ。中学、高校は卓球部でしたが、校内マラソン大会で優勝したこともあったし、陸上部でもないのに記録会に駆り出されて1500mに出場したこともあった。それに、赤坂マラソンは10代の頃から見ていて、ナインティナインの岡村隆史さんが最後の坂でアスリートを抜くなど、印象的なシーンがいくつも生まれていた企画。まさに、芸人が顔と名前を売るには絶好の機会。『ここで目立つしかない。絶対に出たい！』と、手を挙げたんです」

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赤坂マラソンでは「本気で走ろうって決めていた」

　ゲストとして参加したオリンピック銀メダリストのエリック・ワイナイナをはじめ、マラソンランナーの谷川真理などそうそうたる面々とともに挑んだレース。猫は、一発ギャグのイメージを覆す超真面目な走りを見せ、上位入賞を果たした。

「芸人だからこそ、マラソンでも面白いことを期待されていたかもしれません。でも、僕は本気で走ろうって決めていた。最後、何人か抜かしたら、実況のアナウンサーが『猫が来た、猫が来た！　猫まっしぐらだ～！』って絶叫して、それがすごく話題になりました。

　当時、僕はそれなりにテレビに出ていたけれど、深夜のお笑い番組ばかりだったし、なんせ一発ギャグなのでテレビに映るのは合計で1分ぐらいしかない。でも、マラソンではカメラがずっと追いかけてくれる。『これ、めちゃくちゃ美味しいな』って思いましたね」

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