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カンボジア国籍で五輪出場、猫ひろし44歳が今明かす“大バッシング”の真相「今後は五輪を目指すつもりも、国籍を戻すつもりもない」

posted2022/06/24 11:03

 
カンボジア国籍で五輪出場、猫ひろし44歳が今明かす“大バッシング”の真相「今後は五輪を目指すつもりも、国籍を戻すつもりもない」<Number Web> photograph by Shiro Miyake/Getty Images

2016年のリオデジャネイロ五輪にカンボジア代表として出場したお笑い芸人の猫ひろし

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音部美穂

音部美穂Miho Otobe

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Shiro Miyake/Getty Images

マラソンカンボジア代表としてオリンピックにも出場したお笑い芸人の猫ひろし(44)。国籍変更で巻き起こったバッシングや五輪レースでの思い出、思い描く今後について聞いた。(全3回の3回目/#1#2からつづく)

 お笑い芸人の猫ひろしがカンボジアに国籍を変更し、オリンピックを目指す――。

 2011年、そのニュースは驚きをもって報じられ、やがて国内外を巻き込む騒動へと発展する。

 すべての始まりは、堀江貴文氏のインターネット番組に出演したこと。堀江氏に悩みを相談するという趣旨の企画で、収録に行ったら「猫ひろし再生計画」なるものが用意されていたという。

「堀江さんからは『寺社仏閣芸人は?』とか『東大受験をしたら?』とか、次々とアイディアが出てきて。その中に、『マラソンが速いんだから、国籍を変えて五輪に出たら?』というのがあった。

 その瞬間、僕の頭にパッと絵が浮かんだんですよ。速いアフリカ人選手の横で、“猫魂”のTシャツ姿で真顔で走っている僕の姿が。それが単純に面白いなって思っちゃって。

 当然、堀江さんも冗談だったと思うんですが、僕はすぐ乗り気になりました。

 当時カンボジアで1位の選手のタイムが2時間31分。その頃の僕のベストタイムは2時間37分台だったので、もしかしたら本当にやれるんじゃないかって思ったんです。

カンボジア代表内定、日本での大バッシング

 今考えれば、“縁”もあったのかもしれない。堀江氏の番組のスタッフの一人が、偶然にもカンボジアでゲストハウスを運営しており、「気になるんだったら、一度現地に行ってみませんか」と誘われ、たびたび渡航してカンボジアでのレースに出場するようになった。

「カンボジアのアンコールワット国際ハーフマラソンで『これで3位に入ったら、国籍を変更して五輪を目指す。ダメだったらもうやめよう』と決めて、走ったら3位に入った。これは、きっと何かあるんだって思えたんです」

 2011年6月、国籍を変更してロンドン五輪を目指すことを発表。翌2012年の2月には、別府大分毎日マラソンで、当時カンボジア選手の中では最高となる2時間30分26秒の記録を叩き出し、ロンドン五輪のカンボジア代表に内定した。

 しかし、直後から日本では「倫理的にどうなのか」「カンボジアの人に失礼だ」などといった批判が噴出し、猫は大バッシングを浴びた。

【次ページ】 「正直言って、やっぱりこたえましたよ」

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