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大谷翔平「雄叫び逆転12号+162.5キロ」で連敗地獄エンゼルスを救ったけど… 苦手の「対左打者」攻略、2つのヒント〈球種分析〉 

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間淳

間淳Jun Aida

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photograph byWally Skalij/Getty Images

posted2022/06/11 06:00

大谷翔平「雄叫び逆転12号+162.5キロ」で連敗地獄エンゼルスを救ったけど… 苦手の「対左打者」攻略、2つのヒント〈球種分析〉<Number Web> photograph by Wally Skalij/Getty Images

大谷翔平は7回1失点の好投でエンゼルスの連敗を止め、渾身のガッツポーズを見せた

 右打者には直球とスライダーが全投球の39%ずつと2つの球種で8割近くを占め、スプリットは7%にとどまる。ところが、対左打者になるとスライダーの割合は20%まで減り、スプリットが17%に増える。

左打者への対策になりうる“2つのヒント”とは

 ★表(3)大谷の球種別結果(右打者と左打者それぞれ)

 大谷は今シーズン、変化球の中でスライダーが際立って安定している。2球に1球に近い割合で見逃しか空振りを奪い、ボールになる確率は4球に1球未満。左打者にも膝元へ決まれば効果を発揮するはずだが、3球に1球がボールとなり、空振りの割合は大幅に減っている。頼りにできる球種ではなくなってしまうのだ。直球でも見逃しや空振りが上手く取れていない。

 そこで、左打者にはスプリットの割合を増やしているが、“当たり外れ”がある。スプリット全球のうち28%で空振りを取っているものの、ボールは40%。思い通りに操れているとは言い難い。

 森本氏が大谷の課題を指摘する。

「大谷選手のスライダーは横の変化が大きいのが特徴です。右打者にとっては外角に逃げていきますが、左打者は見やすくなる傾向があります。スプリットは空振りを取れています。ただ、他の球種でカウントを整えられていないこともあり、スプリットを効果的に使える状況に持っていけず苦労しているように見えます」

 左打者への対策――森本氏は浮き彫りになった大谷の課題を解決するヒントを探る。

 1つはカットボール。左打者に投じた球種のうち、ストライク率が唯一70%を超える。さらに、見逃しや空振りも取れている。森本氏は「左打者にあまり投げていませんが、カットボールは有効です。制球が安定しているので、カットボールでカウントをつくって、スプリットを投げやすくすると打ち取れる可能性は上がると思います」と左打者の攻略法を思い描く。

カットボールか、高めの直球か、それとも

 もう1つは直球の使い方。空振りを取っているのは大半が高めのコース。フライボール革命による打者のスイング軌道、さらに球速アップした大谷の直球は高めで生きると見る。

 投手・大谷の課題は明確。カットボールを増やすのか、高めの直球で押すのか。それとも、別の対策を講じるのか。

「(連敗は)長かったですけど切れて、今はホッとしています。素晴らしい打線ですし、三振が取れない中でいい守備に助けられて粘れたかなと思います。(この日の投球内容については)どんどんストライクゾーンを攻められて、効果的にすべての球を使えたのが良かったのかなと思います」

 前述したレッドソックス戦後、NHKのフラッシュインタビューでこのように答えた。左打者攻略の糸口をつかんだ時、104年ぶりの「2桁勝利+2桁ホームラン」が現実味を帯びる。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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