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大谷翔平「雄叫び逆転12号+162.5キロ」で連敗地獄エンゼルスを救ったけど… 苦手の「対左打者」攻略、2つのヒント〈球種分析〉

posted2022/06/11 06:00

 
大谷翔平「雄叫び逆転12号+162.5キロ」で連敗地獄エンゼルスを救ったけど… 苦手の「対左打者」攻略、2つのヒント〈球種分析〉<Number Web> photograph by Wally Skalij/Getty Images

大谷翔平は7回1失点の好投でエンゼルスの連敗を止め、渾身のガッツポーズを見せた

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間淳

間淳Jun Aida

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Wally Skalij/Getty Images

 今シーズンも引き合いに出されるのは、遠い昔の記録。エンゼルス・大谷翔平は2日(日本時間3日)、ヤンキースとのダブルヘッダー第1戦で先発のマウンドに立った。そして、試合終了から3時間も経たず、今度は第2戦でDHとしてスタメン出場した。ダブルヘッダーに先発投手と先発野手で出場するのは、1945年のジミー・フォックス以来、77年ぶりとなった。

リアル二刀流での大活躍で4勝目

 ところがチームはこの期間に14連敗を喫し、マドン監督も解任。長いトンネルを抜け出せない苦境を救ったのは、やはり大谷だった。

 9日(同10日)のレッドソックス戦に「2番投手兼DH」で出場すると、最速101マイル(約162.5キロ)のストレートやスプリット、スライダーを織り交ぜて7回1失点の好投。さらには1点を失った直後の5回裏に自らを援護する逆転12号2ランを放つなど自身今季4勝目、そしてエンゼルスの連敗ストップに大きく貢献。投打両面で雄叫びを上げる気迫十分のプレーと、完璧な“リアル二刀流”を見せつけた。

 昨シーズン満票でMVPに輝いた大谷は、1つ忘れ物をした。2桁勝利と2桁ホームランの同時達成である。

 ホームランは46本と悠々と到達したが、勝ち星は1勝足りず1918年のベーブ・ルース以来の快挙を持ち越した。シーズン最終戦に中6日で先発が可能だったが、マドン監督と話し合った結果、怪我のリスクなどを考えて登板を回避。それは、遠くない将来に達成のチャンスはあるという大谷の意思表示にも見えた。

 大谷は5月29日のブルージェイズ戦で2打席連続となる10、11号を放ち、今シーズンのホームランを2桁に乗せている。一方で投手としては10試合で4勝4敗、防御率3.64。昨シーズンの23試合で9勝2敗、防御率3.18と比べると、すでに負け数は増えており、防御率も下がっている。

負け数は増えているが、奪三振率と与四球率は改善

 しかし、これは悲観する投球内容ではないという。スポーツ科学に基づいて野球のデータを解析する「ネクストベース」のトップアナリスト・森本崚太氏は、こう話す。

「奪三振率、与四球率、被OPSは全て昨年より改善しています。防御率は良くなっていく可能性は十分ありますし、この水準がシーズン最後まで続けば2桁勝利は現実的だと思います」

 まず、森本氏が注目するのは奪三振率と与四球率だ。

【次ページ】 それぞれの球種の平均球速がアップしている

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