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センバツ山田陽翔“あの賛否の激投”…近江の監督がいま明かす「続投を避けられなかった理由」“登板過多=監督の責任”は本当か? 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byL)Hideaki Ujihara/R)Hideki Sugiyama

posted2022/06/09 11:11

センバツ山田陽翔“あの賛否の激投”…近江の監督がいま明かす「続投を避けられなかった理由」“登板過多=監督の責任”は本当か?<Number Web> photograph by L)Hideaki Ujihara/R)Hideki Sugiyama

今年のセンバツで物議を醸した山田陽翔の激投。その裏側を近江・多賀章仁監督に聞いた

大阪桐蔭との決勝戦当日、山田に伝えたこと

 多賀にはこのまま山田頼みをしようという気はない。

 夏に向けてのチームづくりは別物だ。

「そこがね、批評家の方達は理解していないと思う。今回は春なんです。まだチームを作り上げている途上でね、これから6月、7月でチームを作って行って、夏には戦える戦力をと思っているんです。センバツはまだ通過点なんですよ。おそらく、どの監督も思っているはずですが、春と夏の甲子園の優勝は同じじゃないんです。みんなが狙っているのは夏の甲子園。春優勝して、夏の優勝を逃したら、それは指揮官として失敗。夏に勝って、なんぼなんですよ。このセンバツはその過程にあって、まだ、山田に次ぐ投手の力量が足りない状況だった」

 決勝戦当日は、当然、多賀は山田の状態を気にしていた。

「雨で順延にならないかとずっと思っていました。天気も悪かったから」というのが本音だった。ただ、朝の時点での山田からの返答は「痛みは残っていますが、投げられる状況です」というものだった。

 多賀は山田に自分の思いを伝えたという。

「試合が決まってからお前を出そうとは思わない。そんな役割をやらせたくない。だから、先発でと考えている」

 結果、山田は3回途中4失点で降板した。

 ボールが指にかからず、力を伝えることができなかった。本来のピッチングから程遠く、山田自ら降板を志願した。2番手の星野世那が打ち込まれて計18失点。結局、控え投手との差が春の時点では露呈した形だった。

登板過多は「監督の責任」でいいのか?

 今改めて振り返っても、この春の山田には過酷すぎる状況だったといえるだろう。

 それを強いたのは指揮官である多賀であることは、本人も「彼の登板を止められるのは私しかいなかった」と認めている。

 しかし、多賀が止められない状況があることもまた事実なのだ。

 ここ数年は、甲子園が開催されるたびに、この登板過多の問題は話題に上がる。

 それはこの問題の根本が解決されていないからである。

 投手の未来を奪う“登板過多の責任”は指揮官だけのものではないという事実を日本高野連はそろそろ考えるべきだ。

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