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ソン・フンミン“両足自在の決定力”は「完全に父の作品」 小3から“勝負より基本を徹底”した教育とは《アジア人初プレミア得点王》 

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キム・ミョンウ

キム・ミョンウKim Myung Wook

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posted2022/05/25 11:00

ソン・フンミン“両足自在の決定力”は「完全に父の作品」 小3から“勝負より基本を徹底”した教育とは《アジア人初プレミア得点王》<Number Web> photograph by Getty Images

アジア人として初めて「プレミアリーグ得点王」に輝いたソン・フンミン(29歳)

 基本的な技術ばかり教えていた小・中時代とは打ってかわり、「シュート練習が始まったのは高校から」という話も韓国では広く知られている。

 徐々に父の指導が厳しくなったのはその頃で、それはドイツでプロデビューしてからも続いた。

 両足のキックの精度が高いことについて、ソンは「元々優れていたわけではなく過酷な練習の結果」と語っているが、韓国で有名なこんなエピソードがある。

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 ソンはブンデスリーガのハンブルガーSVでプロデビューし、2010-2011シーズン終了後に韓国に帰国。そこで待ち構えていた父ウンジョン氏は、夏の炎天下で5週間、一日も休まず毎日1000回のシュートを打たせた。右足500回、左足500回。プロの世界で成功することが、いかに厳しいことなのかを教えたかったはずだ。

 しかし、本当なのかと疑いたくなるほどの衝撃エピソードだが、すべては情熱を注ぎ込む親と、それに応えようとする子との固い絆があってこそだ。ソン・フンミンの父への絶大な信頼とメンタルのタフさも才能のように思えてくる。

愛のある指導はアカデミーでも同じ

 これだけ見れば、かなり厳格な父で、厳しい指導者のように見えるが決してそうではない。現在、韓国で運営するアカデミーの少年たちには、普段から高圧的な雰囲気をなくすために、コーチたちにホイッスルや時計を持たせないというこだわりがある。

 父ウンジョン氏は息子がいるロンドンと韓国を行き来しながら過ごしているが、アカデミーに戻れば子どもたち一人ひとりとハグし、愛情を注ぎながら指導を続けている。

「中央日報」によれば、現在はこのアカデミーからドイツ2部パーダーボルンのU-21に2人の選手を送り込んだという。

 いずれにしてもソンの“プレミアリーグ得点王”という称号が、多くのサッカー少年たちに大きな影響を与えたのは間違いない。「第2のソン・フンミン」が現れる日は来るだろうか。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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