欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
ソン・フンミン“両足自在の決定力”は「完全に父の作品」 小3から“勝負より基本を徹底”した教育とは《アジア人初プレミア得点王》
posted2022/05/25 11:00
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph by
Getty Images
プレミアリーグのトッテナム所属する韓国代表FWソン・フンミン(29歳)が、今季リーグで23ゴールを記録し、アジア人初の得点王に輝いた。
ゴール数ではリバプールFWモハメド・サラー(エジプト代表、29歳)と並び、単独でのタイトル獲得とはならなかったが、それでも世界最高峰リーグとも言われるリーグで、アジアの選手が得点王になる日が来るとは誰が想像できただろうか。それこそフィクションとして漫画で描かれるようなことが、実際に目の前で起こったのだから、改めてアジアの枠を越えたソン・フンミンの能力の高さに感服せざるを得ない。
もちろん、母国・韓国でもソン・フンミンのニュース一色だった。これがどれほどの快挙なのか――。分かりやすいのが、韓国の尹錫悦(ユン・ソンヨル)大統領がわざわざ祝電を送っていたことだ。
「得点王はソン・フンミン選手個人の栄誉だけでなく、アジアサッカー界すべてが祝賀する慶事です。PKなしでフィールドゴールだけで成し遂げた業績に国民たちが感じる自負心がより大きく伝わります。韓国のサッカー少年たちに世界最高の選手の後輩という誇りを与えてくれたソン・フンミン選手の受賞を改めてお祝いいたします」
国家の威信を高めてくれたと敬意を表する韓国大統領。米ビルボードで韓国7人組アーティストのBTSが1位になったことも話題になったが、それに匹敵するほどの快挙と言える。
アジアからソン・フンミンのようなFWはどうすれば生まれるのか――自身の努力がもちろんだが、一方で1人の力だけでは得点王にはなれなかったはずだ。
「私のサッカーは完全に父の作品だ」
ソン・フンミンの成長過程で、大きな影響を与えたのは父親と言っても間違いない。昨年10月、ソンの父であるソン・ウンジョン氏が一冊のエッセイを上梓した。タイトルは『すべての事は基本から始まる』。
子どもの頃から息子のソン・フンミンへのサッカー指導に情熱を注ぎ、父として指導者としてどのような言葉を送り、教えてきたのか――自身の生き様と教育哲学が詰め込まれている。
また、本の表紙の帯にはソン・フンミンの言葉が記されている。
“私のサッカーは完全に父の作品だ”
つまり、現在のソン・フンミンの土台には父の指導があったというわけだ。