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長谷部誠38歳と鎌田大地(23戦11発)のEL実績が超スゴいけど… 20年前の小野伸二はどんな名手と優勝した?〈過去の海外組を大調査〉
posted2022/05/22 17:02
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
Mutsu Kawamori
久々に海外組が、ヨーロッパサッカーの頂点に立ったというポジティブなニュースが入ってきた。
現地時間18日にスペイン・セビージャで開催されたUEFAヨーロッパリーグ(EL)決勝、鎌田大地と長谷部誠が所属するフランクフルトは、PK戦の末にレンジャーズを下し、前身のUEFA杯から数えて42年ぶり2度目の栄冠に輝いた。
イングランドで冨安健洋、ベルギーで三笘薫、スコットランドでは古橋亨梧・前田大然・旗手怜央・井手口陽介……などなど奮闘している選手は多いが、欧州の舞台を制覇したという実績はさらなる価値を感じさせる。実際「日本人選手による5大リーグや欧州戦線での主要タイトル獲得」となると、2015-16シーズンの岡崎慎司(レスター)以来である。
念のため「ELって、どんな立ち位置の大会なの?」という初心者に向けて簡単な説明をすると、ヨーロッパ各国クラブが鎬を削るUEFA主催の大会。チャンピオンズリーグ(CL)の下にある“第2層”だが、野心あふれる若い選手や気鋭のクラブが“成り上がり”を果たす契機としても機能している。
鎌田と長谷部のEL実績は数字で見ても凄い
そんな大舞台なので、テレビのスポーツニュースとかでも、もうちょっと大きく報じてくれてもいいんじゃ……とか思いながら、この価値の偉大さを伝える術はないかと考えてみた。まずは2人とフランクフルトの残した成績を調べてみる(出場データなどはすべて『transfermarkt』から)。
〈鎌田大地、長谷部誠/フランクフルト(ドイツ)21-22シーズン EL優勝〉
・GLの対戦相手:フェネルバフチェ、アントワープ、オリンピアコス
・決勝T以降の対戦相手:ベティス、バルセロナ、ウェストハム、レンジャーズ
・主力選手:GKトラップ、DFエンディッカ 、MFコスティッチ、リンドストローム、FWボレ
・鎌田の出場成績:13試合5得点1アシスト(1108分)
・長谷部の出場成績:7試合(494分)
※以下全て「ELでの成績」
あらためて数字を見ても、鎌田はMVP級の活躍だった。さらに敵地バルサ戦ではアシストだけでなくハードワークを見せ、数字に残らない部分でも貢献度は高かった。
そんな鎌田、2年前の19-20シーズンでもELで10試合6得点の成績を残しており、EL通算23試合11得点3アシスト(1846分)である。これほどまでにELでコンスタントに数字を残している選手も珍しいのではないか。
もちろん長谷部もEL通算31試合目となる決勝でのスクランブル途中出場で、失点を喫したチームを文字通り整えたことも大きかった。倒してきた相手も、“普通にCLにも出て来る”レベルの名前が大半で、何より準々決勝ではカンプノウでシャビ率いるバルサを黙らせているのだから価値は大きい。
小野のUEFA杯制覇は日韓W杯の直前だった
日本人が所属するクラブのEL制覇は2002年の小野伸二(当時はUEFA杯)以来である。