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「井上尚弥1位」の可能性は? カネロ衝撃の敗戦で米リング誌のP4Pでも激しい議論が…“ドネア戦の完勝”の他に必要な要素とは
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杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byJIJI PRESS
posted2022/05/23 11:02
![「井上尚弥1位」の可能性は? カネロ衝撃の敗戦で米リング誌のP4Pでも激しい議論が…“ドネア戦の完勝”の他に必要な要素とは<Number Web> photograph by JIJI PRESS](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/e/0/700/img_e0ac923a756c3b4e906892f335333bc8172363.jpg)
6月7日にノニト・ドネアとの世界バンタム級3団体王座統一戦に挑む井上尚弥。アメリカでもライブ配信されるなど、世界から注目を集める一戦となりそうだ
「ビボルとのリマッチ条項を行使するかどうかはカネロ次第。適正ウェイトのスーパーミドル級に戻って戦うという選択肢もある」
エディ・ハーン・プロモーターのそんな言葉通り、ビボルとの即座のリマッチを目指すか、それとも事前に定められた通りにスーパーミドル級での宿敵ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)との第3戦に向かうか。これから先、カネロがどんな方向に向かっていくかが注目される。
こうして中量級戦線に激震がもたらされ、またそれと同時に数多くの媒体が選定するパウンド・フォー・パウンド・ランキング(P4P=全階級を通じて最高のボクサーを選定するランキング)にも大きな変化が起こったことは付け加えておきたい。
激しい議論が交わされたP4P
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近年、ほとんどの主要媒体がカネロをP4Pのトップにランクし、メキシカンアイドルは“現役最高のボクサー”の称号をほしいままにしてきた。2018年9月、ゴロフキンとの再戦に際どく勝って以降、カネロは快進撃を継続。ダニエル・ジェイコブス(アメリカ)、セルゲイ・コバレフ(ロシア)、カラム・スミス、ビリー・ジョー・サンダース(ともに英国)、ケイレブ・プラント(アメリカ)といったミドル〜ライトヘビー級の王者たちを連破し続けた戦歴の内容の濃さは群を抜いていた。
一部から依然として誤解されがちだが、P4Pとは“同一体重と仮定して誰が最強かを決めるランキング”ではなく、“全階級を通じて最も優れた実績を誇る選手を選定するランキング”。そういった観点で考えた時に、圧倒的なレジュメの深みを誇るカネロ以外をトップに据えるのは難しかったというのが正直なところだった。しかし、ここでカネロに久々の土がつき、P4Pは混沌の時代を迎えようとしているのかもしれない。
筆者は2019年秋以降、最も権威があるとされるリングマガジンのP4Pランキング選考委員を務めてきた。カネロ対ビボル戦のあと、近年最高と思える激しい議論が交わされ、以下の新ランキングに落ち着いた。