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「井上尚弥1位」の可能性は? カネロ衝撃の敗戦で米リング誌のP4Pでも激しい議論が…“ドネア戦の完勝”の他に必要な要素とは
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byJIJI PRESS
posted2022/05/23 11:02
6月7日にノニト・ドネアとの世界バンタム級3団体王座統一戦に挑む井上尚弥。アメリカでもライブ配信されるなど、世界から注目を集める一戦となりそうだ
6月、日本で行われる井上対ノニト・ドネア(フィリピン)のバンタム級3団体統一戦は、軽量級の試合としては近年最大級の注目を集めることが必至だ。アメリカでもESPN+で生配信されることが決定。アメリカ時間では早朝とはいえ、オンディマンドも合わせれば相当な数の視聴者を集めることは間違いない。
井上にとって、2019年11月にキャリア最大の苦戦を味わった相手との運命的な再戦である。30代後半にしてほとんど“狂い咲き”と思える強さを発揮しているドネアに、多くの視聴者が見守る前で完璧な形で勝てば、評価、知名度はさらに上がるはずだ。その後、本人の希望通りにWBO同級新王者ポール・バトラー(英国)にも勝ってバンタム級の4団体統一を成し遂げるか、あるいはスーパーバンタム級に上げて4階級制覇も果たせば、“日本のモンスター”の歴史的な評価はさらに高まるに違いない。
それと同時に、7月に予定される元王者アンソニー・ジョシュア(英国)との再戦でウシクが敗れるか、大苦戦を味わうことがあれば? 現在交渉が進んでいるクロフォード対スペンスのウェルター級4団体統一戦が暗礁に乗り上げるか、実現してももう一つの内容で終わったとすれば? 他力も含まれなければいけないのがもどかしいところではあるが、伝統あるリングマガジンのP4Pにおいて、井上が日本人史上初のトップに立つ可能性がまた膨らんできたのは事実なのだろう。
しばらく“我が世の春”を謳歌していたカネロの敗戦とともに、世界リングが新しい方向に動き出そうとしている。支配的な王者が敗れた直後というのは得てしてそういうもの。それに付随した様々な変化の中で、井上の世界的な位置づけにどんな影響がもたらされるかにも注目しておきたいところだ。
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