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「山の斜面にスタジアム」「守田英正のお薦め料理は…」日本代表MFが戦う“離島クラブ”は美しい風景とグルメ満載だった《現地で撮影》
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/05/14 06:00
守田英正が奮闘するサンタクララ。そのホームタウン、サンミゲル島はどんなところなのか
ホテルで機材を整え、街のはずれにあるエスタディオ・サンミゲルへ向かう。初めて訪れたサンタクララのホームスタジアムは、山の斜面に作られており、メインゲートから見ると、スタジアムは階下に作られ、その姿をまだ目にできない。そのためか、だだっ広い市民公園の入り口にでも来たかのようだった。
それは、スタジアムの作りだけではないかもしれない、そこには日曜日の昼下がりキックオフ1時間前の賑わいは見られなかった。道路を挟んだ火山島由来の黒っぽい砂利石で敷き詰められた駐車場には、3台のフードトラックが出店していたが、賑わっているとは言い難いものだった。
3人の日本人選手がポルトガルの離島で戦う姿
スタジアム内部に移動する。
席数1万3000人強のこぢんまりとしたスタジアムが姿を現した。
ホームのサンタクララには、守田の他に、この冬のマーケットで加入した田川亨介がいる。またアウェイのエストリルにも日本人、食野亮太郎がいる。
残念ながら、この日の先発の22名に名を連ねたのは田川のみだった。
島特有の天気なのだろうか、90分の間に、何度も晴れ間と豪雨が繰り返される中、後半に入って53分、その田川がこの試合の勝ち越しゴールとなるチームの2点目を奪った。その10分後に、食野がピッチに立つと、72分には守田も交代出場。日本から、そしてヨーロッパ大陸からさえ遠く離れたこの牧歌的とも言えるスタジアムで日本人3人がピッチに立ち、戦う姿を撮影することができた。
日本代表をより強くするために、または日本代表に選ばれるために。それぞれの思いを胸に、世界の片隅で戦う男たちの姿を目にすることができた。
また、この日の入場者数は800人強。中位同士の組み合わせだったことも原因かもしれないが、さほどサッカーへの熱量が高いとは言えない。
それでも、ここに集まったサポーターたちの熱量は、他のヨーロッパで見るそれと遜色はない。
ゴールや審判の判定に一喜一憂する姿は世界共通だった。
正面玄関から5分ほど歩を進めると、スタジアムを一望できる高台に到着できる。視界を遮るようなものはあえて設置されていない。スタジアムのさらに奥には太陽に輝く海も覗く。
サンタクララという、この島のサッカークラブを象徴するような長閑で美しい風景が広がっていた。
都内コンビニと同じくらいの間隔でカフェが
さて、この取材の一番のメイン守田への単独インタビュー、その模様と写真はぜひ本誌の方で確認して頂くとして――もう少し、街の雑感、食などについて徒然と。