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「山の斜面にスタジアム」「守田英正のお薦め料理は…」日本代表MFが戦う“離島クラブ”は美しい風景とグルメ満載だった《現地で撮影》
posted2022/05/14 06:00
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
大西洋の真ん中ややヨーロッパ寄り、9つの島々からなるアソーレス諸島がある。
そのポルトガル領の群島、最大の島サンミゲルを、Number本誌の企画、日本代表でありサンタクララ所属・守田英正のインタビュー撮影のため訪れた。
濃霧での飛行機の遅延は想定外
ポルトガルの首都リスボンより西へ1500km、飛行機は2時間半のフライトを経て、アソーレス諸島最大都市ポンタ・デルガダへ到着する。
AM8:30出発のTAPポルトガル航空、定刻通り搭乗した機体は、濃霧のため90分の間、身動き一つしなかった。アイフォーンに追加し、注視していたその町の天気画面は、雨マーク。機材で膨らむカメラバッグに無理やり雨具も詰め込み、安心していた。
旅にトラブルは付き物だ。もっといえば、トラブルを楽しむために旅をするとさえいえる。
さりとて、濃霧での飛行機の遅延は想定外、現地時間14:30キックオフの守田出場予定のサンタクララ対エストリアル戦の撮影が待っている。機長から「少なくとも1時間以上の待機」とアナウンスがあった。
望みはといえば、ポルトガル本土より遠く離れたアソーレス諸島には1時間の時差があることだった。
2時間までの遅延は許容範囲だ。2時間以内に飛んでくれることを願いながら、硬い座席に背を預け眠りの浅瀬を漂っていた。
かくして、90分遅れでいつの間にか飛び立った飛行機は――ポンタ・デルガダ空港へ向けて機体を降下し始めた。小さな窓から覗く初めて見るその景色は、予報と外れ、青い空と海を背景に迎えてくれた。
「やっぱカメラマンは晴れ男じゃないとね」なんて独り言ちながら、直前まで雨が降っていただろう、水たまりのある滑走路脇のエプロンを徒歩で、小さな空港施設内へ向かった。
ホームスタジアムは、山の斜面に作られていた
守田の所属するサンタクララは、アソーレス諸島の人口3分の1にあたる7万人が住む、ポンタ・デルガダ市にある。
その街に隣接する空港から市内中心部まではタクシーで10分ほど。
料金メーターはない。10ユーロという請求に訝しげな表情を浮かべた事を察してか、冊子の料金表を見せてくる。支払いは現金のみ、カードは使えない。時差だけでなく、時空をも一回り過去に遡ったかのようだ。