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審判は「野球の必要悪」!? 佐々木朗希への“球審詰め寄り騒動”は結局何が問題なのか《侍ジャパンには“星野監督の失敗”で申し送り事項も》
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySankei Shimbun
posted2022/04/29 11:05
4月24日、オリックス戦1回に安打を許し、連続アウトが「52」で途切れた佐々木朗希。2回には白井審判員に詰め寄られる“騒動”が起きた
球界での実績も中堅からベテランの域に達し、年齢的にも44歳という白井球審が、プロ3年目で20歳の佐々木に対して威圧的な表情でマウンドに歩き出したこと。またそれを止めに入ったのが18歳でプロ1年目だった松川だったこと。ファンにはここが問題なのだ。
「あまりに大人気ない」
「いじめ、パワハラではないか」
多くの人々が感じたこんな気持ちが、実はこの騒動の核心にはある。
ストライク、ボールの判定に投手が不服そうな表情や仕草を見せるのは、プロ野球の試合ではよく見られる光景だ。一方、アンパイアがそうした選手の表情や仕草に感情を露わにするのは、あまり見ない。ただ、それでもないことはないし、筆者もそんな場面を何回かは目撃したことがある。
どちらも野球のグラウンド上で観る光景である。
ファンもアンチも多い巨人のエース・菅野だったら……?
佐々木のマウンドから降りて苦笑いという行動に、ネットでは「(巨人の)菅野(智之投手)なんかがよくやっているのと同じではないか」という指摘がある。だとすると、もし菅野が佐々木と同じ仕草を見せたときに白井審判員が同じ行動をとったら、ファンの反応はどうだったのだろうか。ファンも多いが、アンチの多い巨人のエースに対する行動だったら、これほどまでに審判員が叩かれることにはならなかったのではないか。
要は普段だったら、これほどまでに問題にはならないが、相手が佐々木だったから大騒動に発展した。実は本当はそれほどの大問題ではないというのが、今回の問題への正直な感想である。
騒動が勃発した直後にサンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有投手は「審判にも態度に出させてあげてください」と審判員の立場を擁護した。その後に改めて白井球審のマウンドに詰め寄る行為は「一切肯定しません」としながら、選手や監督が判定に不服な態度や退場になるような行動がある中で「審判が感情を表に出したとき、仕事にクレームをつけられ、すごく言われてしまう。これに関して近年、不平等に感じてしまうんですね。審判はこうあるべき、と自分の物差しで決めつけてしまう人が多々いて」と真意を説明している。