マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
なぜ高卒ドラ5の20歳がスワローズのショート“1番手”に急浮上できた? 3年前、高3だった長岡秀樹の衝撃ホームランが忘れられない
posted2022/04/28 17:03
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Sankei Shimbun
フッと気がついて、オオーッと声を上げてしまった。
ヤクルトスワローズの本拠地・神宮球場ネット裏。
いくらか一塁側の位置に腰かけてグラウンドを見たら、右に山田哲人二塁手、左に村上宗隆三塁手がいて、その真ん中に、遊撃手・長岡秀樹(20歳)が内野を守る。
私には、太刀持ち・村上宗隆、露払い・山田哲人をしたがえた長岡秀樹、横綱土俵入りのようにも見えていた。
令和のプロ野球を代表するバットマン2人と左右に隣り合わせて、もの怖じするような気配もいっさいなく、持ち味の球出しの鮮やかなフィールディングを展開している。
昨年、セ・リーグ優勝を飾ったヤクルトスワローズ。「ショートストップ」は8年目・西浦直亨とルーキー・元山飛優がほぼ2人で守った。今季はプロ入り3年目、昨シーズンは遊撃手としてわずか2試合しか出場していない長岡秀樹が、ここまでほぼ1人で守っている。
父親「中村晃さんに食についても教えてもらって」
「まあ、秀樹自身も努力してるんでしょうが、やっぱり周りの方たちとのつながりのおかげで、今があるよなぁ……って思いますね」
長岡選手の父・尚恭さんも、現役の教員を続けながら、千葉県の中学軟式野球の指導を続けて30年以上になるベテラン野球人だ。
「2年目の合同自主トレの時に、上田さん(剛史、2020年引退)に『58番、いいバッティングするなあ!』って、声をかけてもらったのが始まりですね」
オフは先輩の青木宣親選手、山田哲人選手との自主トレに参加をお願いしてみようと考えていた長岡選手に、「お前が一軍に上がったら、青木さんや山田は必ず教えてくれる。それなら今のうちに、他のチームの選手から教わっておいたら」と上田選手の勧めで、ソフトバンク・中村晃選手、栗原陵矢選手との自主トレに参加することになった。