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端正な「西の将棋王子」は料理好き+扇子の柄に注目? 実力派・斎藤慎太郎八段(28)の素顔〈渡辺明名人に2期連続挑戦〉
posted2022/04/09 17:02
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph by
日本将棋連盟
斎藤八段は2019年度B級1組順位戦で、A級に初めて昇級した。2020年度A級順位戦では8勝1敗の成績で優勝し、渡辺名人への挑戦権を得た。
斎藤は2017年に棋聖戦で羽生善治棋聖に挑戦し、1勝3敗で敗退した。2018年には王座戦で中村太地王座に挑戦し、3勝2敗で破って初タイトルの王座を獲得した。いずれも1日制の五番勝負で、持ち時間は棋聖戦が各4時間、王座戦が各5時間である。
一方の名人戦は2日制の七番勝負で、持ち時間は最も長い各9時間。1日目の夕刻には「封じ手」が行われる。斎藤にとって、いずれも初めての経験だった。
昨期に続いて2年連続での名人戦挑戦
斎藤八段は昨年の名人戦に際して、「自分の持ち味は慎重であり丁寧。それを生かせるように、構想を練って事前の準備を入念にしたい。渡辺名人は、私の修業時代からトップにいた方で、近くて遠い存在です。自分の一番いいときの状態をぶつけていきたい」と語った。
昨年の名人戦第1局は、渡辺が中盤で優勢になったが、斎藤に懸命に粘られて珍しく疑問手が続き、斎藤が逆転勝ちした。
しかし渡辺は第2局以降に立ち直った。終盤で優劣不明の寄せ合いとなった第4局を制したのが大きく、4勝1敗で初防衛を果たした。この結果に斎藤は「シリーズの中で足りない部分がたくさん分かった。それをプラスにしていきたい」と語った。
斎藤は2021年度A級順位戦で、初戦から飛ばして8連勝し、最終戦の前に名人戦の挑戦権を得た(最終成績は8勝1敗)。名人戦で連続挑戦した例は過去にあるが、A級順位戦の1期目と2期目に優勝したのは斎藤が初めてだ。永瀬拓矢王座、豊島将之九段、羽生善治九段など、トップ棋士たちを連破して圧倒的な成績を挙げたのは見事だった。
斎藤八段は今年の名人戦に際して、「昨年の名人戦の後、将棋の幅をもう少し広げないといけないと反省し、いろいろと工夫してきました。試行錯誤の1年でしたが、A級順位戦に白星が集まり、自信を深めました。名人戦では、形勢互角で中終盤を迎えるようにしたいです」と語った。
迎え撃つ渡辺名人は「普段と変わらないタイトル防衛戦という感じで臨みます」と語り、3連覇に向けて自然体の構えである。なお両者の対戦成績は名人戦の開幕時点で、渡辺が斎藤に8勝4敗と勝ち越している。
「西の将棋王子」斎藤八段はカレーとグルメ漫画好き?
斎藤八段のプロフィールについて、簡略に紹介する。