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「松本さんも好きじゃないんやな…」ゆにばーすが語るM-1漫才の“変化球”と“ストレート”論争「銀シャリさんが正統派って違和感あった」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byMiki Fukano
posted2022/04/03 17:01
結成8年で3年ぶり3度目の決勝となったゆにばーす。川瀬名人(37歳、手前)とはら(32歳)。東京吉本所属
川瀬 というか、ブームだったんですよ。僕らは2013年結成なんですけど、当時は、漫才コントをやった方がいいという感じやったんです。あと、しゃべくり漫才って技術もいりますけど、ある程度、知名度も必要なんですよ。
――キャラクターを知っておいてもらわないと伝わりにくいわけですか。
川瀬 僕らは2016年からしゃべくりもやってたんです。それで、はらさんが「水素水が買いたいんだけど」とか「セクハラされてみたいんだけど」とか言ってたんですけど、はらさんの人間性を知らない人からすると、ボケで心にもないこと言ってるんやろなって思われちゃうんです。入口でそう思われちゃうと、ネタが頭に入っていかなくなってしまう。
――白々しい印象を持たれてしまうわけですね。
川瀬 そこにリアリティーを持たせるには、漫才コントの方が都合がいいんです。漫才コントに入ることで、ウソに聞こえなくなるんで。コントほど明確ではないですけど、漫才コントも半分芝居に入るんで、客が「芝居なんだな」という前提で見てくれるようになる。
――漫才は前提として、「素」だと思って見てますもんね。
川瀬 ただ、漫才コントをやってる人たちの中には、めちゃめちゃ芝居のうまい人たちがいますからね。そっちに行ってしまうと、今度は演技力が必要とされるので、僕らは「本人役」のまま芝居をやっていたんです。
――確かに、ゆにばーすは、コント漫才でも、しゃべくり漫才でも、2人のキャラクターの印象は、ほとんど変わってないですもんね。
川瀬 ただ、だんだんと限界を感じ始めて。自分たちに求められているものは、もうこれではないんやな、って。そこそこ名前も知ってもらえたので、あえて漫才コントを続ける必要もなくなってきたんですよ。「セクハラされたい」っていうネタは、さすがにコンプライアンス的にもう無理ですけど、前よりは伝わると思うんです。はらさんなら、言いかねんな、って。
――はらさんも、しゃべくり漫才にシフトするときは、だいぶ苦労しましたか。
はら かなり難しかったですね。慣れの問題だけなんですけど。
川瀬 でも、楽でしょ。漫才コントほどきっちりやらなくても漫才になるんで。
はら 今は、しゃべくりしてる方が楽しいですね。漫才コントも漫才とはいえ、ずっと演じていなきゃいけないような窮屈感はあったので。
銀シャリさんが正統派って違和感があった
――でも熱量を伝えるという意味では、やっぱりしゃべくり漫才の方が適しているんでしょうね。
川瀬 うーん、だから、何度も言いますけど、決勝は伝え過ぎちゃったんでしょうね。(オール)巨人師匠に力み過ぎだみたいに言われましたけど、ほんまわかるんですよ。
――その巨人さんは、ロングコートダディのネタのとき、もっとセンターマイクの前でしゃべった方がいいというアドバイスをしていました。あれに関しては、どのように思われましたか。