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〈W杯初戦ドイツの名門バイエルン〉不満顔だったレバンドフスキもイキイキ… 34歳名将ナーゲルスマンに聞く“独自プレー原則の徹底法” 

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アレクシス・メヌーゲ

アレクシス・メヌーゲAlexis Menuge

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posted2022/04/03 06:00

〈W杯初戦ドイツの名門バイエルン〉不満顔だったレバンドフスキもイキイキ… 34歳名将ナーゲルスマンに聞く“独自プレー原則の徹底法”<Number Web> photograph by Getty Images

バイエルンのナーゲルスマン監督とレバンドフスキ

「今シーズンの前期は、日程的にすべての原則を伝えることはほぼ不可能だった。EUROの影響で夏の準備期間はほぼなく、ウインターブレイクも非常に短かった。さらに毎週のように2試合をこなす過密日程だったからね。

 しかし、1月と2月はザルツブルクとのCL決勝トーナメント第1レグを除いて、1週間に1試合しかなく、戦術をブラッシュアップできた。私たちは間違いなく前進している。

 ただ、まだチームが持つポテンシャルをすべて発揮しているとは言えない。これからさらにチームとしての完成度を高めていきたい」

不満を漏らしていたレバンドフスキにかけた言葉

――あなたの原則の1つに「最小限の幅」がありますね。中央に密集してプレーすることの利点は?

「守備だけでなく、攻撃でも陣形をコンパクトに保つことが極めて重要だ。なぜならボールを失ったとしても、ボールの近くにたくさん味方がいるので奪い返しやすいからだ。

 相手にカウンターをさせないためには、攻撃をしているときに、どう空間を埋めるかを考えなければならない」

――ロベルト・レバンドフスキは11月に「今季のバイエルンは攻撃で6人ものアタッカーがペナルティエリア周辺に集まり、FWがプレーするスペースがない」と不満をもらしました。それが今では生き生きとプレーし、ゴールを量産しています。コンセプトをどう説明しましたか?

「私はレヴィ(レバンドフスキ)に、流れの中で常にポジションチェンジをし、相手DFが予測できない存在になることを求めている。レヴィにとって新しい役割で、シーズンの序盤は慣れない部分もあっただろう。

 だが、この戦術を実行すれば、確実に相手のDFラインへ圧力をかけられる。それを彼に説明した。

 今ではレヴィは新しい役割を自分のものにし、これまでよりもさらに幅の広いプレーを見せてくれている」

対戦相手に、より多くのトラブルを引き起こしたい

――バイエルンが2013年と2020年にブンデスリーガ・ドイツ杯・CLの「三冠」を達成した際、システムは4-2-3-1でした。それゆえにメディアは「ナーゲルスマンはシステムを4-2-3-1に固定すべき」としばしば批判します。なぜ、あなたは異なるシステムを使い分けることにこだわっているのでしょう?

「昨夏に私がバイエルンの監督に就任したとき、チームとしてのベースを大きく変えないことを心がけた。バイエルンのスタイルを受け継いだんだ。ただし同時に、スタイルをさらに発展させるために、ポジショナルプレーをより完璧なものにしたいと考えた。

 私は対戦相手に、より多くのトラブルを引き起こしたい。そのための手段の1つが、異なるシステムを使い分けることだ。試合中に必要に応じて、大胆にシステムを変えられるようにしたい」

――今、バイエルンはCLベスト8まで勝ち進んでいます。CLで頂点に立つために、何を改善しなければならないと考えていますか?

【次ページ】 “連携で翻弄したからこそ運を引き寄せた”ゴールとは

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