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久保建英の祈りと必死さも実らず「先発落ち→6連敗で降格圏」に倒れ込み… 監督解任マジョルカの序列は変わるのか〈撮影者の視点〉
posted2022/03/24 11:02
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
スペインを中心にヨーロッパ各国でフットボールの撮影をする日本人フォトグラファー中島大介氏。久保建英が代表合流前に挑んだ一戦を、現場の空気を臨場感たっぷりにお届けする(外部サイトでご覧の方は関連記事などの「新着写真」からプレー写真をご覧になれます)。
3月20日、リーガ29節、RCDエスパニョール対RCDマジョルカの試合を撮影しました。
バルセロナを本拠地とするエスパニョールとしては、少しでも順位を上げて残留争いに巻き込まれないためにも、ホームで格下マジョルカに負けるわけにはいきません。マジョルカは前節の負けで5連敗、アウェイとは言えこれ以上の負けは許されない試合でした。
キックオフの約1時間前、両チーム先発が発表されると、この絶対に負けられない試合で、久保は控えメンバーとなりました。
撮影に臨むにあたり、久保の先発に100パーセントの確信を持っていたため、驚きのメンバー発表でした。前節から3枚の変更となり、久保に代わりイ・ガンイン、また両サイドバックにも変更が加えられました。
両チームメンバーがアップのためピッチに出てきたタイミングで激しい雨が降り始め、両サブメンバーはほぼアップをせず、ベンチで雨宿りをするという珍しいシーンがありました。
選手入場時には雨は止み、人種問題への抗議のためのTシャツを着用した22人の選手がピッチに登場しました。
控えとなった久保をベンチで撮影すると、ひさしからこぼれ落ちる雨を気にしているようでした。また、5連敗中のマジョルカ、ルイス・ガルシア監督は、カメラを見つけると笑みを浮かべて余裕の表情でした。
しかし、キックオフ直後から苦悶の表情を浮かべる指揮官の姿がレンズ越しに見えてきます。敗戦が続く中で、前々節では今季ほぼ試していない5-3-2というようなシステムの変更。前節では久保を戦い慣れた右サイドではなく左サイドに配置したものの敗戦。そして久保を外した今節――自身のチームを信頼できず迷走していることが窺えます。
序盤、どちらも大きなチャンスを作れない中、VARによってマジョルカにPKが与えられるかというシーンがありましたが、判定の結果はノーファウルでした。是が非でも欲しい先制点のチャンスに、ピッチ上だけでなく、ベンチからも期待の表情がうかがえました。
冬の加入よりマジョルカの前線でターゲットマンとなるムリキは、相手CKなどの守備時にも大きな壁となって立ちふさがる姿を撮影できました。