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「東京と今治が同条件でいいのか」岡田武史が語る新スタジアムと“今治モデル”の独自性…座席数をあえて“J2規定未満の6000席”にするワケ
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE
posted2022/03/29 17:01
昨年11月の福島戦でゴールを決めた高瀬太聖。「岡田メソッド」で育った「今治モデル」第1期生だ
2022年シーズンは各都道府県の許可が下りれば、収容人数の制限なく試合を開催できるようになった。3月13日、福島ユナイテッドとのJ3開幕戦。新型コロナウイルス感染症の発生前までは開幕戦チケットは売り切れていた。だが今回は半数にも満たない2209人にとどまった。待ちに待った開幕に「ありがとうサービス. 夢スタジアム」はにぎわいを見せたものの、岡田の表情は晴れなかった。
「だいぶ少ないという実感。ウチのお客さんは年配の方が多いし、コロナが怖いから人が集まるところに行きたくないという気持ちも理解できる。コロナがなければ売り切れたとは思うんだけど、(制限撤廃といっても)チケットの売れ行きは伸びなかった。もうちょっと入ってほしかったなというのが正直なところ」
目に見えている成果の一つに、育成がある
客足がなかなか戻らないというのは、多くのクラブが抱えている悩み。こればかりは徐々に回復させていくしかない。その意味でも新スタジアムの「約6000席」は現実的。1万5000席をつくってガラガラでは、臨場感を演出しにくい。臨機応変の対応力だと捉えたい。
開幕戦の観客数だけ見れば心配にも映るが、FC今治の取り組みはしっかりと地域に浸透している。
育成では指導を体系化する「岡田メソッド」の導入、社会貢献活動では地域の高齢者と交流する「孫の手活動」や「環境教育プログラム」など、58あるJクラブのなかでも独自色を打ち出してきた。クラブの「ソーシャルインパクトパートナー」を務める大手コンサルティングファームのデロイト トーマツ グループからも評価を受けており、社会変革に向けて両者は関係性を強めている。
目に見えている成果の一つに、育成がある。