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投手・大谷翔平はリアリスト? 岡島秀樹が驚いた3-0からの四球「クローザーの発想に近い。大谷君の割り切り方は、斬新ですね」

posted2022/03/21 11:03

 
投手・大谷翔平はリアリスト? 岡島秀樹が驚いた3-0からの四球「クローザーの発想に近い。大谷君の割り切り方は、斬新ですね」 <Number Web> photograph by Getty Images

昨季は23試合に先発し、9勝2敗、防御率3.18、奪三振156、与四球44の成績を残した大谷翔平

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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日本人投手として初めてワールドシリーズに登板し、現在は解説者を務める名左腕・岡島秀樹氏は、昨シーズンの「投手・大谷」を見て驚かされたという。Sports Graphic Number1040号(2021年12月2日発売)に掲載された『元メジャーリーガーの勝負目線解説(1)岡島秀樹「進化した変化球と異質の発想力」』を全文公開します。※肩書きなどはすべて掲載時

 大谷君の投球、オールスター前後で変わりましたよね。

 開幕から6月くらいまでは、とにかく三振を狙いに行っていたので、制球が定まらない試合もあったわけです。ゲームを作るという意味では不安定だったわけで、自分が早めに降板すると打席にも立てないから、そうするとつまらないと気づいたんじゃないですかね(笑)。

 後半戦の安定をもたらしたのは、変化球の質の向上でしょう。もともとスプリットはキレがあって、三振を狙える球でした。問題はカウントをどう整えるかということで、ここで柱となったのはスライダーとカットファストボール(カッター)です。

 大谷君のスライダーはキレが良いので、抜けてしまうことも珍しくないんです。そうなると、カウントを整える球種にはなりにくいし、捕手もサインを出しづらくなります。私が注目したのは、6月17日のタイガース戦です。ここからスライダーの質が変わったんです。

抜けがちだったスライダーが勝負球に

 この日は、それまで柱となっていたスプリットの精度が低く、カウントを稼ぐ球としては使いづらかった。一方でどういう理由かは分かりませんが、それまで抜けがちだったスライダーの曲がりが良くなり、質が向上していました。右打者の外角へと逃げていく球、そして左打者の外角への「バックドア」と呼ばれる、外から内に切れ込んでくるスライダーともに捕手のミットにすべて収まっていく感じで、両サイドの制球が完璧と言っていいほどでした。これでスプリットを見せ球にして、スライダーで勝負するパターンを確立したと見ます。

 特に、左打者に対しては有効でしたね。大谷君のスライダーは球速があるので、フォーシームと見分けがつきにくい。打者としては踏み込んだところに食い込まれるわけですから。

【次ページ】 後半戦の安定を生んだフォーシーム

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